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2010年1月

ハンス・イヌメとカエルが誘う芸術の根源

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  たまたま立ち寄った百貨店で、ギャラリーがあるのに気づく。「何かありそう」な気がして近づくと、まだ発見していないのに「絶対ある!」に変わる瞬間、“カエル好き”のカエル・センサーの数値はマックスになる。

 昨年2009年の夏に、伊勢丹新宿店のギャラリーで、画家ハンス・イヌメさんの作品のなかにカエルが描かれている絵を見つけたときもそうだった。トリの絵、ブタの絵、ネズミの絵、・・・・・・と、目で追っていく先に、やっぱり、カエルもいた。会場にはご本人も来日されていたが、がっちりとして男らしい風貌の方で、描いている小動物のイメージとは異なっていた。

 1951年、オランダ生まれのハンス・イヌメ氏は、アート活動を始めた当初、抽象画を描いていたが、メッセージの伝わりにくさに思い悩むことがあったそうだ。ところが、1987年に、初めて鶏をモチーフにした絵を出品したところ、思いがけない場面を目にする。その絵の前を通りかかった人が、描かれた鶏を見て立ち止まり、首を傾けながらにっこり笑ってその場を離れて行った。そのとき、自分の表現したものが観る人にダイレクトに伝わる実感を得たという。

 そうして彼の作品には、カエルも含めてどこにでもいて、それゆえ誰も関心をもたないが、とても愛らしい動物たちが増えていった。しかし、動物たちを抽象化して描いて、その可愛らしさをわかりやすく伝えることならイヌメ氏でなくともできるだろう。

 その作品が人を惹き付ける力は、イヌメ氏が動物を描くようになる前から積み重ねていたドイツ表現主義的抽象絵画や、アフリカの原始美術に共感して着想したイメージ表現がもととなっている。この作品(写真)のように、大地と月の間にいるカエルは、20世紀のはじめに日本でも活躍したイギリス人の陶芸家バーナード・リーチの作品にも通じ、シンプルな構成ながらもカエルをめぐるシンボリックな意味を伝えている。

 対象をデフォルメして平面化する手法で描かれた、誰にとってもわかりやすい動物のモチーフは、紙を重ねてオイルパステルで色づけすることによって得られる有機的な質感と、形のシンプルさとは逆に色のもつ深さを表現するその巧みな色彩感覚で、観る者を芸術の根源へと誘ってくれる。

写真協力:翠波画廊 http://www.suiha.co.jp

100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u/

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発見された一茶のカエルと文字のカエル

Photo  「羽根生へて な虫はとぶぞ 引がへる」

 昨年2009年に発見された小林一茶の句、2句のうちの一句である。一茶は、エサ捕獲の絶好のチャンスに身構えるヒキガエルを見ているのだろうか。

 一茶の句のなかでも特に知られた「痩蛙まけるな一茶是に有り」以外にも、一茶は「蛙」や「引がへる」、「蟾(ひきがえる)」「蟇(ひきがえる)」「引蟇(ひきがえる)」など、カエルについて詠んだ句を多数遺している。

 「引がへる」については、他に「云ぶんのある面つきや引がへる」「つくねんと愚を守るなり引がへる」があり、“もう一匹”仲間が増えたことになる。どの「引がへる」も、実物や写真などでヒキガエルを見たことがある者にとっては、「わかる、わかる」と共感できるイメージである。

 ところで、皆さんは「書」を鑑賞する趣味はおもちだろうか。筆者はあまり親しんでいなかったのだが、昨年の4月からスタートし、今年4月まで全国を巡回している「第37回日本の書展」(主催 財団法人全国書美術振興会)の図録をいただき、改めて漢字やひらがなの美しさ、おもしろさに気づかされた。そして習性で“発見”してしまったのが、やはり一茶の「蛙」(写真)。

 「青梅に手をかけて寝る蛙かな」 村上俄山(むらかみがざん)氏の作品である。

 日頃、「カエルは言葉の生き物」と喧伝しているが、文字そのものに蛙の姿や蛙のいるシーンがそのまま表現されている作品に、蛙へのいとおしさが込み上げた。

 村上氏は、広島を拠点に活動されている書道家で、現在、書道笹波会会長を務める。かなの制作やかなに関する活動に力を入れられている。素人目で恐縮だが、その力みのない筆の運動から生まれてくるような文字は、小林一茶の遊び心のあるものの見方に通じるように感じられた。

 書のなかにもいろんなカエルがいると思うと、またまたカエルの世界が広がったようでうれしい。

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何でも食べちゃうカエルは、あなたの王子さまかも。

170150_4  カエルの魅力は、かわいい・・・、だけじゃない。人によっては「嫌い!」と言ってはばからないように、何を考えているかわからない、とか、不気味だ、とか言われることもある。以前は、そういう人の方が多数派だったような印象もある。でも、最近は、不気味だけどかわいい、“ブキュート”さが好きという人も多いらしく、時代によって美意識は変わっていくようだ。

 今回紹介する絵本『かえるごようじん』に登場するカエルは、まさに何を考えているかわからない。うっかり油断しようものなら・・・? 何でも食べちゃう。そんなバイオレンスともいえるカエルの行動が描かれたお話は、サイケでポップな色使いのイラストレーションと独特の擬音語を駆使した言葉使いで、パンク・ロックのビートにでも乗るように読み進めることができる。

 さすがはロンドン生まれのクリエイターの手による絵本である。作者ウィリアム・ビーは、日本では英国のファッション・ブランド、ポール・スミスのメイン・イラストレーターとして活躍している。また、ヴィンテージ・スポーツカーのレーサー、国際的なスキーヤーとしても有名だそうだが、この絵本からもそのスピード感覚のようなものが伝わる。

 「カエルにキスをすると・・・」という西洋の童話で語り継がれるモチーフを活かしつつ、決して王子さまは現れない。でも、現実のモヤモヤを抱えたとき、この絵本を開いて最終ページまでめくれば、カエルがあなたのストレスをきれいに平らげてくれるだろう。

『かえるごようじん』(セーラー出版・1500円)

ウィリアム・ビー/ロンドン生まれ。『だから?』で2005年度イギリスBCCBブルーリボン絵本賞を受賞。現在はイギリスの田舎暮らし。『だから?』も『かえるごようじん』も翻訳は田中尚人。

写真協力:セーラー出版

100年カエル館 http://kaeru-kan.com

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「かえる力」がある限り、カエルも人も進化し続ける。

Ntt

  日本ではアマガエルがなじみ深いせいか、カエルはスイスイ泳ぎが得意なイメージがある。そのせいかカエルグッズも泳いでいるポーズを造形化したものによく出合う。ただし、それらの多くは自然をそのまま反映しているわけではない。アマガエルが泳ぐとき、後ろ足は人間の平泳ぎと同じような動かし方をするが、前足はほとんど使わない。人間の平泳ぎの手の動きとは違う。それでもカエルの泳ぐ姿と人間の平泳ぎが合体したようなカエルグッズを見つけると、思わず微笑んでしまう。

 そして私たちは、昨年CMですごい“カエル”を見かけることになる。なんとバタフライで泳ぐカエルだ。もちろん、ありえない。その「ありえない」を実現したのは、NTTデータグループの広告シリーズ「かえる力」である。さまざまなビジネスをIT面でサポートする同社が、2008年9月に新たなグループブランドとして標榜したのが「変える力を、ともに生み出す。」というメッセージ。それをわかりやすく伝えるために起用されたのが“カエル”なのである。

 同社広報部 課長後藤章宏氏にお話を伺う。「新ブランドメッセージの誕生」とともに、宣伝もこれまでやったことのないことに挑戦しようということになりました。それで『変える力(ちから)』というメッセージから『かえる力(りょく)』でいこうということに。人によっては好き嫌いのあるカエルを起用することに正直言って不安もありました。それでも新しいことにチャレンジしようという思いの方が強かった。その思いに社長の賛同も得られ、勇気をもって進めることができました」と語る。

 おかげで私たちは、新聞広告や交通広告で、書き初めをするカエルやカエルのスプリンター、棒高跳びをするカエル、スキーをするカエルなど、さまざまなことに挑戦するカエルや、ウミガメやカモメ、ラクダなど、パートナーと旅に出るカエルなどに出合うことができた。

 そんななかからCM化されたカエルのひとつが、華麗なバタフライを見せるカエル。水泳選手さながらの泳ぎっぷりを見せるカエルの動きは、タイで撮影した12歳の少年の泳ぎ。その映像にカエルのCGがミックスされている。カエルは粘土で作成されたクレイを3DスキャナーでPCに取り込みデータ化し、それにアニメーションとして動きや色がつけられている。

 「実物のカエルの印象を残しながらも誰が見ても気持ちよく感じられるように、アニメすぎず、かつ、リアルすぎないカエルをめざしました。タイの制作会社との共同作業でしたが、日本語独特のテカリとかヌメリとか、ザラザラ感など、カエルの質感を伝えるのが大変でした」とふりかえる後藤氏。

 そうして生まれた“カエル”は、自らの「かえる力」によって進化した新種のカエル。昨年8月からは新たなCMとして、棒高跳びのバージョンも加わり、これまでの擬人化とは違う新しい方法で表現されている。カエルがヘンデルのオペラ「オンブラ・マイ・フ」(歌い手は白石圭美さん)の荘厳な響きのなかで泳ぐのを目にすると、IT時代ならではの「カエル文化」が誕生したことを感じる。

NTTデータ http://www.nttdata.co.jp

100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u/

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”カエル女子”のマストアイテム、「フロッグタイム」新発売

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女性が仕事の帰りなど

にふらりとドラッグストア

に立ち寄るのは、もちろ

ん、切らしているスキン

ケア商品や日用雑貨など

を買う目的もあるが、それ

だけじゃない。何となく店内

をぶらりと回るだけで、仕事

の疲れで乾いた心が癒

される効果も感じている

のかもしれない。

 そんなときに、そこに

”カエル”をモチーフにした

商品を発見しようものなら、

その場でしばし身じろぎも

せず幸せな気分に浸る

女性が、最近なぜか増え

ている。昨秋は、目をウル

ウルとさせ、指先がキラリと

光った”カエルちゃん”の

イラストが描かれたパッケ

ージのハンドクリームの新

商品を見つけて、そんな

ひと時を味わった女性も

多いのではないだろうか。

 しかもその商品名は「フロ

ッグタイム」。ちなみに私は

「カエルタイムズ」の編集長。

さっそく購入し、家に帰って手

の上に延ばしてみる。グリー

ンシトラスの香りは甘すぎず、

心穏やかにさせてくれた。

同商品の正式名称は「N.U.P.

フロッグタイム ハンド&ネイル

クリーム」。価格は735円(税込)。

昨年10月に発売された。全国

の有名ドラッグストアやバラエテ

ィショップで販売中。

 発売元の(株)ナリスアップ 

コスメティックスの販売企画課

土屋瑠美さんのお話によると、

この商品は、カエルが好きで、

カエルグッズを集めている女性

社員の方の企画で生まれた

ものだそうだ。「フロッグタイム」

というネーミングや「うるおって

透明感 みちガエル」というキャッ

チフレーズ、そしてその爽やかな

香りにいたるまで、カエル好きの

担当者が企画を組み立て、社内

の賛同を得て商品化された。

「パッケージは、社内デザイナー

が起こしたいくつかのデザイン案

のなかから、”カエルちゃん”が

一番かわいく目立っているものを

選びました」と土屋さん。

 そして「みちガエル」の意味は、

言葉遊びだけではない。成分は、

高保湿成分として定評のある

「ヒアルロン酸」や「シアバター」を

配合、手や爪にしっかりとうるお

いを与える。また、「ビタミンC誘

導体」と「エーデルワイスエキス」が、

うるおって透明感のある手肌に

整えてくれる。

 実際、使い続けてみると、べたつ

かないのにうるおう感じはもちろん、

特にカエル好きの心理かもしれない

が、使うごとに”カエル女子”としての

誇りが保てるような気がしてくるのだ。

と、いうのは大げさだが、使う楽しさ

も美肌効果に影響するのは確かだ

ろう。

 カエルはうるおい(水分)がなければ

生きていけない。みち’ガエル’ちゃん

とともに、カエルとして美しい人生を

歩みたいものだ。

ナリスアップ コスメティックス http://www.naris.co.jp

100年カエル館/カエ~ル大学はこちらから http://kaeru-kan.com/kayale-u/

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