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ジャンルを超えて語り継がれる、ガマの油

Photo

(2009年をふりかえる 落語のカエル)

 どんな表現文化の中にも生息する

場所を必ず見つけるカエル。たとえば、

映画の中。昨年は、ガマ王子が出て

くる『パコと魔法の絵本』に主演してい

た俳優の役所宏司。今年は、自ら

監督を務めて主演した作品

『がまの油』が公開された。と、いうことで

ガマの油。ここではカエルタイムズで

「落語のカエル」を連載している

青木隆太氏のガマの油を一席。

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ガマの油。

 三代目・春風亭柳好は、明るい

唄い調子の芸で人気を博した噺家。

落語「野ざらし」の「どうしたい!、

コツは釣れるかい? 骨は」を耳に

するたびに、相好がくずれてしまう。

この「野ざらし」とともに柳好の

十八番だったのが「ガマの油」。

酒に酔ったガマの油売りが腕を

深く切りすぎてしまい、商品のガマの

油をキズ口に塗っても血が止まらなく

なり、目の前に居並ぶ客に向かって

「どなたかキズ薬をお持ちの方は

ござらぬか」というのがオチ。

 この落語の聞き処は、なんといっても

ガマの油売りの口上。「さあさあ、ご用と

お急ぎでない方は・・・」で始まる口上の

魅力は、立て板に水の台詞まわし。戦前

戦後にかけ、実際、これを商売にする

香具師がいた。若き日の三代目・三遊亭

金馬が金沢の一九亭という寄席に出たとき、

浅野川の橋の上でガマの油売りを見たの

だが、あまりの下手さに代わりに金馬が

口上を述べたところ、やんやの喝采を受け

客から祝儀をもらったという逸話がある。

 金馬が演じるガマの油売りの噺は、

演題が「高田馬場」。ガマの油売りが古傷を

披露した武士を親の敵と見破り、後日、

高田馬場で仇討ちをするというので、当日は

物見高い江戸っ子がいっせいに高田馬場に

やって来た。ところが時刻になっても仇討ち

は始まらない。見ると、大勢の客で混んでる

居酒屋で、親の敵のはずの武士が一献傾け

ている。「なんだ、おまえさん、今日は仇討ち

じゃねえのか?」と問われた武士が「仇討ちと

言えば、大勢の人間が高田馬場に来るだろう」

と言ってニヤリと笑う。現代なら高田馬場商会

の販売促進活動として、ガマの油売りと武士

との仇討ちを演じて見せた、といったところか。

 古今亭志ん朝も「高田馬場」でガマの油売りの

口上を語っていた。心太(ところてん)が網目

からスルリと抜けるような、なめらかな口調

だった。(青木隆太)

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