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カエルの日とブンナ

 今年も雨の季節がやってきた。「うっとおしい」と思う人もいるかもしれないが、

カエル好きは、カエルの身になれば「快適!」と思えないこともないから考え方

しだいだ。「カエルは擬人化しやすい」といわれるが、その逆もいえるのでは

ないだろうか。人間の生き方や人間関係は「カエル化」すると真実が見えてくる、

と。カエルが登場する童話や文学作品に名作が多いのはなぜだろうと思ったとき、

そんな理由が浮かんだ。

 カエルタイムズではこれまでも「かえる文学」というコーナーで名作を紹介してきた。

たとえば、水上勉作品の『ブンナよ木からおりてこい』。ブンナはトノサマガエルの

子どもで、その名は釈迦の弟子の一人、ブンナーガから取られている。その弟子の

苦悩をカエルの行動に置き換えて表現するという、少年時代、禅寺で過ごした

水上勉ならではの童話作品である。

 カエルは生態系ピラミッドでは中間に位置し、猛禽類やヘビなどには逃げ遅れたら

最後、あっけなく食べられ、虫などの自分の両目の間隔より小さい動物は粘着性の

ある舌を伸ばして貪欲に食べて生きている。確かに、ものの哀れと罪の意識を

絶えず感じずにはいられない存在なのだろう。ブンナの苦悩もそこにあった。

 それにしてもこの作品における捕食する者とされる者の心のかけひきはすさまじく、

さらに自然や動物たちの生態もリアルに描かれているので、まさにブンナの気持ちに

なって天敵におびえ、絶望にぶつかり、逃れ切ったところで希望を見出し、さまざまな

体験の果てに悟り、元気になるという、”カエル体験”をすることができる。

 最後の方で、死にゆく鼠がブンナにいう。「きみがぼくの死んだあとくさったからだから

とび出る羽虫をくったら、ぼくの生まれかわり。元気になって地上へおりておふくろや

仲間にあってくれ・・・・・・それは自分がゆくのと同じことなんだから」。

ブンナを元気にしたのはもちろん、カエルたちすべてを救う言葉だろう。 

 この作品は文学者に童話を書いてもらうという、出版社の企画から生まれたものだ

そうだが、子どもには自分で読んで理解するにはむずかしいかもしれない。むしろ

まず親が子どもに読み聞かせてあげて、自発的に読みたいと思った子どもが本を

手に取ればいいと作家自身も書いている。

 6月6日のカエルの日には、横浜市の関内ホールで、その名も「みどりぐみ」による

朗読劇「ブンナよ、木からおりてこい」が開催される。詳しくは100年カエル館の

HPの企画イベントをご覧いただきたい。

 

 

 

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