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2009年5月

カエルの日とブンナ

 今年も雨の季節がやってきた。「うっとおしい」と思う人もいるかもしれないが、

カエル好きは、カエルの身になれば「快適!」と思えないこともないから考え方

しだいだ。「カエルは擬人化しやすい」といわれるが、その逆もいえるのでは

ないだろうか。人間の生き方や人間関係は「カエル化」すると真実が見えてくる、

と。カエルが登場する童話や文学作品に名作が多いのはなぜだろうと思ったとき、

そんな理由が浮かんだ。

 カエルタイムズではこれまでも「かえる文学」というコーナーで名作を紹介してきた。

たとえば、水上勉作品の『ブンナよ木からおりてこい』。ブンナはトノサマガエルの

子どもで、その名は釈迦の弟子の一人、ブンナーガから取られている。その弟子の

苦悩をカエルの行動に置き換えて表現するという、少年時代、禅寺で過ごした

水上勉ならではの童話作品である。

 カエルは生態系ピラミッドでは中間に位置し、猛禽類やヘビなどには逃げ遅れたら

最後、あっけなく食べられ、虫などの自分の両目の間隔より小さい動物は粘着性の

ある舌を伸ばして貪欲に食べて生きている。確かに、ものの哀れと罪の意識を

絶えず感じずにはいられない存在なのだろう。ブンナの苦悩もそこにあった。

 それにしてもこの作品における捕食する者とされる者の心のかけひきはすさまじく、

さらに自然や動物たちの生態もリアルに描かれているので、まさにブンナの気持ちに

なって天敵におびえ、絶望にぶつかり、逃れ切ったところで希望を見出し、さまざまな

体験の果てに悟り、元気になるという、”カエル体験”をすることができる。

 最後の方で、死にゆく鼠がブンナにいう。「きみがぼくの死んだあとくさったからだから

とび出る羽虫をくったら、ぼくの生まれかわり。元気になって地上へおりておふくろや

仲間にあってくれ・・・・・・それは自分がゆくのと同じことなんだから」。

ブンナを元気にしたのはもちろん、カエルたちすべてを救う言葉だろう。 

 この作品は文学者に童話を書いてもらうという、出版社の企画から生まれたものだ

そうだが、子どもには自分で読んで理解するにはむずかしいかもしれない。むしろ

まず親が子どもに読み聞かせてあげて、自発的に読みたいと思った子どもが本を

手に取ればいいと作家自身も書いている。

 6月6日のカエルの日には、横浜市の関内ホールで、その名も「みどりぐみ」による

朗読劇「ブンナよ、木からおりてこい」が開催される。詳しくは100年カエル館の

HPの企画イベントをご覧いただきたい。

 

 

 

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カエルとかまぼことケロロジー

Photo_3

 カエルのことでいつもお世話になっている方から、こんなにかわいいカエルを送っていただいた。カエルはカエルでも、小田原の老舗蒲鉾メーカー「籠清(かごせい)」のどうぶつかもぼこのカエルである。

 食べ物のカエルといえば、名古屋の銘菓「青柳ういろう」のかえるまんじゅうやかえるサブレが有名で、その他、カエルのシュークリームやチョコレート、グミなども話題になったことがある。カエル好きのジレンマは、カエルの形をした食品はついつい買ってしまうのだが、食べることができなくて賞味期限が切れたものをコレクションのひとつにしたり、ガブリと食べて「おいしい!」と思った瞬間、それがカエルでなくなってしまい、無情を味わうことも。メルヘンの世界では王子さまが現れるのにね。

 その点、このかまぼこのカエルの場合、金太郎飴のように切った先から最後の一切れまでカエルの姿を止めるので、カエル好きでも安心して食べられる。そもそも「蒲鉾」の名は、植物の「蒲(ガマ)の穂」に由来しているのだとか。ガマつながりの相性の良さも感じられた。特に辛党のカエル好きの皆さんには、カエルラベルの日本酒や白ワインのおつまみにお薦めします。

 それにしても、甘党も辛党も楽しめるカエルを表現した食品がいろいろと生まれているのはうれしいことだ。考えてみるとカエル(この場合は本物)を食べるか食べないかは、地域ごとに生まれるカエルの物や文化にも影響してきたような気がしている。これからケロロジーを探究していく上でも興味深いテーマである。

 

 

 

 

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カエルアートについて

 先日、今度相模原市立博物館で開催される

「スキスキ大スキ!カエル展」に合わせて企画された

カエルアートコンテストの審査会に、100年カエル館の

館長、高山ケロリとともに審査員として参加させていただいた。 

一般の部と子どもの部にそれぞれ立体部門と絵画部門が

あったが、期待以上にすばらしい作品が集まった。結果は

相模原市立博物館からの公表があるのでそれを待って

いただきたいが、カエルのことに関わってカエルアートの

審査員をさせていただいたのも光栄なら、さらに誕生した

ばかりのカエルアートをたくさん目にする時間を過ごせたのが

とても幸せだった。2009年のカエルの季節に。 

 日頃から「カエルアート」は独立したジャンルになるのでは

ないかと思っていた。ここ数年、毎年この季節になると

カエルのアート展を開催するギャラリーがあり、ものすごく

大きなムーブメントになることはなくても、じわりじわりと

その活動の影響は広がり、カエルをテーマに表現しようとする

アーティストは確実に増えていると思う。 

 そして今回のカエルアートコンテストでも実感したのだが、

カエルを表現する行為は子どもから大人まで、自分にもできそうと

思わせる間口の広さがある。カエルの口の大きさそのままに。 

 見ていても、表現していても飽きないのが、シンプルにして

どこか不思議なカエルの造形美。

 私なりの見方では、晩年にカエルの作品を遺している画家や

彫刻家など古今東西の美の巨匠も多いように思う。カエルは

子どもの友だちでもあるが、人は生きて最期にカエルになることも

あるのではないか。 

 カエルを表現することは自然や宇宙と交流することにもつながる。 

 カエルアートが21世紀初頭のムーブメントになるかどうか見守っていきたい。  

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喜多方ラーメンとカエル

100  今年のゴールデンウイークの100年カエル館。

この季節は庭にいるアマガエルが鳴いてくれる

ので、音響効果もバツグン。栃木から来てくれた

男の子は「カエルの声が聞こえたから場所がわかった」と、大きな

看板を掲げていないのでちょっとわかりにくい同館に、カエルが案内

したようでした。

 近県や首都圏のいわゆるディープなカエル好きの皆さんにはそこそこ

知られるようになったかなと思われる同館では、今年はぜひ喜多方

ラーメンを食べに来て、「100年カエル館ってなんだろう」と思った人にも

立ち寄っていただきたく、カエルがラーメンを持ち上げているポスターを

駅張りしました(写真は喜多方の観光案内所に貼られたポスター)。実際、

それを見て来館してくれた人も。喜多方老麺会のご協力もいただいたので、

喜多方のラーメン屋さんでそのポスターを見かけたら、ぜひ立ち寄ってください。

 考えてみると、ラーメンもカエル(グッズ)も身近に楽しめるところが似ています。

どちらも深く突き詰めようと思えば、いろんな発見があるのですが、100年カエル館の

カエルグッズの展示は、基本的に何を見ても「カエル」なので、子どもからお年寄りまで

楽しめるわかりやすさがあります。そして、カップルも家族も、それぞれ気になるカエルの

置物などの前で、クスクス笑ったり、何かを思い出したりしている姿は、カエルグッズの

博物館ならではのことではないかとちょっとうれしくなりました。

 連休中お越しいただいた皆様には、本当にありがとうございました。

また遊びに来てください。

 

 

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