カエルに会える水族館■アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のカエルたち(福島県)

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カジカガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■福島県にある2つの水族館

 福島県会津地方の猪苗代町にある「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」(以下カワセミ水族館)。

福島県には公益財団法人ふくしま海洋科学館が運営する水族館が2つあります。ひとつは平成12年に太平洋側のいわき市小名浜に開館した「アクアマリンふくしま」で、地上4階、延べ床面積15,233㎡の大きな水族館です。「海を通して『人と地球の未来』を考える」を理念に掲げ、「環境水族館宣言」をしています。

そして、もうひとつがこの「カワセミ水族館」で猪苗代湖の近くにあり、湖沼や川など淡水の生きものを中心に飼育、展示している水族館です。

 

■カワセミ水族館で出会えるカエルたち

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20㎝キューブ水槽のカエル・イモリ展示

同公益財団カワセミ水族館チームのチームリーダー、平澤桂氏に同館のカエルの生体展示について伺いました。「県内在来種11種類を20㎝キューブ水槽で『おもしろ箱水族館~生物多様性の世界~』として展示しています」。福島県に生息しているカエルは、在来種の二ホンアマガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、二ホンアカガエル、ヤマアカガエル、タゴガエル、ツチガエル、カジカガエル、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、トノサマガエルの11種と、外来種のウシガエルで12種類。「ウシガエルは『外来種の脅威コーナー』の90㎝水槽で展示しています」。来館者はすべてのカエルの展示を見て「福島県内にこんなにたくさんの種類のカエルがいるのかと驚く声も聞かれます」と平澤さん。

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モリアオガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

同館が開館したのは2015年。その年の秋には「かえるふくしま」をテーマに、福島県在住の新聞記者で自然カメラマンの矢内靖史さんの写真展を開催しました。「福島県は東日本大震災、そして原発事故により県内の自然環境が大きく変わりました。カエルたちの目に震災後の福島がどう映っているのかを考えながら撮影された矢内さんの写真は、多くの来館者の心を捉えました」。

 

■「会津は両生類の宝庫」と研究者

 「アクアマリンふくしま」は「新潟市水族館マリンピア日本海」と友好提携をしていますが、会津は歴史的に新潟県とのつながりが深くその地理的な環境条件を考えても、カエルなど両生類は太平洋側からの水系と日本海側の水系両方の影響を受けているかもしれないと研究者の方々の間では関心をもたれていたようです。

 2018年に100年カエル館は日本両生類研究会との共催で、同会創設20周年記念の自然史フォーラムをカワセミ水族館からも近い喜多方市で開催しましたが、そのフォーラムでは、生物学博士の吉川夏彦氏に「福島県の両生類 東西の勢力がせめぎ合う場所・会津」という演題で講演をしていただきました。吉川氏は「2017年版ふくしまレッドリスト」の調査員として会津の両生類を調査した経験から、サンショウウオやカエルの分布を通して会津という土地の興味深い特徴を解説してくださいました。「会津は両生類の宝庫」とも。

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左はアズマヒキガエル、右はトノサマガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■カワセミ水族館を楽しもう

 そんな会津のカエルなど両生類に出会ってみたいときには、最初にここカワセミ水族館を訪ねてみてはいかがでしょう。また、会津を含め福島県のカエルについてのご質問は同館HPのお問い合わせフォームでご対応いただけます。

 また同館では、県内に生息する12種類のカエルの缶バッチセットも販売していて人気です。福島県のカエルたちとの出会いの記念に、コレクションアイテムに。

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 【アクアマリンいなわしろカワセミ水族館】〒9693283 福島県耶麻郡猪苗代町長田東中丸34474  TEL.0242-72-1135

https://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/

 

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海と空とカエルと、一枚の布に誘われて

最近、夏休みが終わって登校が始まった近所の小学生の女の子とすれ違い、朝の挨拶を交わしました。すると、その女の子がやって来た方角にある住宅の階上から「行ってらっしゃーい」「気をつけてねー」と窓に張りつくようにして涙声で叫ぶ幼い女の子の姿が見えました。長い夏休みをお姉ちゃんと過ごした妹さんなのでしょう。お姉ちゃんは意を決しているかのように振り返ることもなく遠ざかっていきます。そのランドセルを背負った後ろ姿が印象的でした。

そんなふうに夏休みの終わりを感じたら、カエルが登場する絵本や童話について書く宿題を終えていない気がして……。今回は2冊紹介いたします。

どちらにももちろんカエルが登場しますが、どちらのカエルも1枚の布を手に入れることで、自分を取り巻く世界を変えることができました。1枚は青いバスタオル、もう1枚は赤いハンカチで。

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『うみをあげるよ』(山下明生・作、村上勉・画、秋書房、1977年刊行)

『うみをあげるよ』では、団地の上の階に住んでいるワタルくんの、それがないと眠れないほど大事にしている「あおい すてきな タオル」が、ある日、ベランダの物干しから風に飛ばされてしまします。そして、その青いタオルは、ワタルくんの家の近くの森に住んでいるカエルの兄弟が、初めて目にした「うみ」になりました。海を思いっきり楽しむ2匹のカエル。タオルの端にとまったホタルの光は灯台に思えたようです。ワタルくんもカエルたちを見守っているうちにちょっとお兄ちゃんになっていきます。作・画のお二人によるカエルが登場する絵本は「かえるえんみどりぐみ」シリーズなど、他にも読むことができます。

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『カエルのフレディ空を飛ぶ』(ジーグムーント・フレンケル作、きしむらこたろう訳、PHP研究所、2000年刊行/現在品切れ)

 一方、赤いハンカチで凧を作って、空へと飛び出したのは『カエルのフレディ空を飛ぶ』のフレデイです。やはり、干してあった洗濯ものが風に飛ばされてきたのか、こちらは1枚の「真っ赤なハンカチ」を手に入れます。フレディはその活用のしかたをあれこれ考えて、ついには2本の小枝を使って凧を作ることに。そうして、カエルにはできないような空の旅に出て、そこで出くわしたコウノトリの攻撃に対しても知恵を絞って応戦します。作者のジーグムーント・フレンケル氏(1929-1997)は、ポーランド生まれで、ロシア、イギリス、ベルギーでの生活を経て、イスラエルに定住して創作活動をしました。そのコスモポリタンらしい視点なのか、ちょっとシニカルですが世の中を渡るときのヒントがいろいろ発見できる大人のための絵本です。姉妹本に『カエルのフレディ海を行く』もあります。

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ポルトガルで作られているアズレージョのカエルは何ガエル?

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アズレージョとは、ポルトガルの伝統工芸のタイルのこと。首都リスボンをはじめポルトガルの街を歩いていると建築物の壁面などによく見られるタイルのようです。

アラブ語でモザイク片を意味するaz-zulechaに由来するアズレージョ。国立アズレージョ博物館などの情報によりますと、元々は14世紀にイスラム教徒によってスペインに持ち込まれたものが、15世紀後半にスペインのセビリアからポルトガルに輸入されました。

さらに16世紀初頭には、ルネッサンス期にイタリアで発祥したマヨリカ焼の技術がポルトガルにもたらされたことでタイルに直接彩色できるようになり発展し、いまもポルトガルの建築や芸術に欠かせない伝統技術として受け継がれています。

初期のアズレージョにはアラブ風の幾何学的な模様が多かったのですが、17世紀以降人物や動植物、そして歴史的な物語や地域の歴史などが描かれるようになりました。青色の彩色がポピュラーですが、多彩色のアズレージョも見られます。

 

ショップなどではタイルだけでなく、このカエルのようにアズレージョタイルの陶芸技術を使ってつくられた小物も販売されています。そしてこうしたカエルの置物を見ると、ポルトガルでは作り手の方々が自然に生息するどんなカエルから着想してこの“カエル”を製作したのだろうと思いを巡らしてしまいます。

改めて地球儀を回してみると、ポルトガルはヨーロッパ大陸の最西端のイベリア半島に位置しています。何種類のカエルが分布しているかわかりませんが、形態からするとアカガエル科のカエルと類推すれば、ポルトガルにはその英名にイベリアと付くアカガエル科のなかま、Iberian Frog(イベリアアカガエル)やIberian Water Frog(ペレスワライガエル)がいて、アズレージョにふさわしい寒色系の体色からするとペレスワライガエルあたりだろうかなどと勝手に同定してみました。

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画業50周年の久保修さんと切り絵のカエル

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「笑談」(久保修作)

切り絵という美術表現のジャンルは、古今東西に見られ、カエルが表現されていることもあります。中国では漢代から作られていたようで、カエルの神話が遺る陜西省には13番目の干支とも云われるカエルが十二支の真ん中に据えられた切り紙なども伝えられています。100年カエル館にも中国やオランダの切り絵のカエルや、日本には寄席の紙切り芸があり、その第一人者の林家正楽師匠にカエルをテーマに切っていただいた作品、そして、現在、切り絵作家として国際的に活躍している久保修さんによる蓮と蛙を表現した作品を収蔵しています。

今の季節、大賀ハス(古代ハス)の開花の話題も聞こえてきますが、その古代の自然風景も蘇るような大きな葉の上で開花を喜ぶような2匹の蛙。久保さんは誰の心にもある日本の風景や風物を切り絵という表現を通じて、多くの日本人にとっては記憶のような、海外へは日本の再発見につながるようなイメージを「紙のジャポニスム」として創作し続けています。その画業は今年で50年。久保さんのオフィシャルサイトhttp://www.shu-kubo.com/ では、作品ギャラリーの「日本の風景」のさまざまな作品とともに、この蓮の上の2匹の蛙を表現した作品「笑談」を見ることができます。

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童話『カエル水泳きょうしつ』に学ぶカエルのこと

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『カエル水泳きょうしつ』(岡野薫子 作・画 あかね書房刊)

夏、水辺が近くにあればカエルたちが元気に鳴く声も聞こえる季節。映画や絵本の中で、水に親しむカエルを見るだけでもとてもうれしくなります。

映画シリーズ2作目を前に『ピーターラビット』(ウィル・グラック監督作品、2018年)がテレビで放映されていましたが、「ピーターラビット」のカエルといえば、かえるのジェレミー・フィッシャーどん。映画でもイギリスの湖水地方の水辺で釣り糸を垂れるその姿が見られました。

原作者のビアトリクス・ポター(18661943)は、生きものの観察や自然保護活動にも熱心だった人で、うさぎのピーターやかえるのジェレミーが人間と同じようにものを考え、話したりできても、その姿や行動はそれぞれの生きものの特徴を細やかに映し出しています。

そして、今回のブログでは夏らしいカエルの絵本を読みたいなと思っていたところ、手にしたのが『カエル水泳きょうしつ』。童話作家の岡野薫子さんが1977年に出版した本です。岡野さんの童話の数々にもポター作品同様にいろいろな動物たちが描かれています。その1冊に登場したのが、主人公の女の子エミちゃんに水泳をおしえるカエルたち。表紙画に見えるような水着姿のカエルたちが、家族の中で唯一まだ泳げない小学2年生のエミちゃんのために水泳教室を開いてくれるのです。

そんな日常にはあまりない設定もエミちゃんが電信柱に貼ってあった小さな、小さな案内を見つけることで、絵本の中で実現していきます。その案内の「やじるし」を追って進んでいくと「やじるし」は少しずつ大きくなり、「カエル水泳きょうしつ」の受け付けに、エミちゃんの背丈よりも大きい、帽子をかぶったカエルが待っていました。どうも「やじるし」を追うごとにエミちゃんの体のほうが小さくなっていったようでした。

そして、エミちゃんが数日かよった「カエル水泳きょうしつ」でのカエルたちとのやり取りの楽しさは、クレヨンや鉛筆で描かれた夏休みの絵日記のような挿絵とともに水しぶきまでいきいきと伝わってきます。

エミちゃんはカエルの先生たちから体に力をいれなければ水に浮くことができることやカエルおよぎまでいろいろ教えてもらいます。読み手がなるほどと思わせられたのは、カエルは手(=前あし)で水をかかなくても水面から常に目や鼻を出せるからかスイスイ泳いでいけること、それができないエミちゃんはカエルたちのように目と鼻を水の上に出すために背泳ぎをしようと思いつきます。これにはカエルの先生たちも驚いてエミちゃんにその泳ぎ方を教えてもらうのですが、カエルの場合背中を下にして水に浮いたとたんバネ仕掛けのおもちゃのようにひっくり返ってしまったという、まさにカエルと人間の体のつくりの違いがわかるエピソードもありました。

科学映画の脚本家を経て児童文学の作家になった岡野さんの作品には、ポターに通じる、自然観察者の目とファンタジーを生み出す創造力を併せもった表現力を感じました。

「カエル水泳きょうしつ」が開かれていた池は、エミちゃんの家の近くの「こうしんさま」のお堂のところにあったと書かれています。庚申さまとは猿田彦大神のことでもあり、道ひらきの神様ともいわれるこの神様の使い神がカエルだと考えると、エミちゃんに泳げる道をひらいてくれたのもこの神様だったかもしれないと民俗学的な想像をふくらますこともできました。

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『ときめくカエル図鑑』が山と溪谷社の「ときめく図鑑Pokke!」シリーズで文庫化されることになりました。

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2013年に初版が刊行された拙著『ときめくカエル図鑑』(監修・桑原一司 写真・松橋利光 文・高山ビッキ 山と溪谷社刊)が、同社の文庫シリーズ「ときめく図鑑Pokke!」の1冊として6月16日から発売されることになりました。

単行本に掲載された愛らしいカエルたちが、文庫サイズになり増ページされたことで新しい水を得たカエル(!?)のごとく新たな輝きを放っています。また、昨今、カエルを含む両生類は世界的に分類や学名の変更が進んでいます。本書に紹介している87 種のカエルは約40種の学名と約20種の科名が改訂されているので今回の文庫化に伴い変更いたしました。

山と溪谷社では、今年、『ときめく図鑑Pokke!』シリーズを発売します。いずれも同社の専門ジャンルである自然図書のなかで、自然界に存在するものや自然界に生きるものにときめきを感じている立場から、対象物となっている図鑑ページを中心に、その魅力を文化やグッズ、飼い方・撮影のしかたなどのつき合い方、そして、いまその分野が注目されている理由などにも広げて紹介しています。

同シリーズのラインナップは、

●ときめくカエル図鑑(2021 年 6 月刊行)●ときめく貝殻図鑑(2021 年 6 月刊行)●ときめく鉱物図鑑(2021 年夏刊行予定) ●ときめく星空図鑑(2021 年夏刊行予定) ●ときめくコケ図鑑(2021 年夏刊行予定)●ときめくきのこ図鑑(2021 年夏刊行予定)

『ときめくカエル図鑑』は、単行本に引き続き桑原一司さんの監修のもと、世界と日本のカエルの分類や学名等の変更を反映し、内容を吟味・調整いたしました。その再編集作業を行いながら、松橋利光さんならではのカエルにときめく一瞬をとらえた写真で一種一種に向き合うことで、改めてカエルという生きものの素晴らしさを実感することができました。

カエルたちを通して日本や世界の自然について感じることのできる本書は、図鑑であり写真集であり、カエルと人との関係を伝える本でもあります。それが『ときめく図鑑Pokke!』シリーズでポータブルになり、「カエル」をいつでもどこへでも連れて行くことができるようになりました。本書を「カエル」を知るための入門書として多くの皆さんに読んでいただき、さらに広く、深くカエルに興味をもつきかっけにしていただければとてもうれしいです。

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津幡町のカエルのその後と町の人々を守るカエル

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野外でカエルの観察をするように、街中でカエルの造形物を発見する路上観察も楽しいものです。どうしてそこにカエルが置かれているのか気になることがあります。

日本両生類研究会会長の高橋久氏から送っていただいた置物のカエルの画像。石川県津幡町の町役場で見かけたということでした。津幡町のカエルといえば、同ブログでは、以前、津幡町駅の近くに設置されていたカエルのオブジェを紹介したことがあります。http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikki/2013/04/post-e7d2.html

そのカエルは今どうなっていて、この町役場のカエルとはどんな関係があるのか知るべく津幡町役場に取材させていただきました。総務課の方のお話によれば、以前紹介したカエルは駅の駐輪・駐車場そばの池に造設されていたそうですが、整備事業でその池そのものがなくなりカエルもその後のゆくえは町役場としては把握していないということでした。

今回紹介している画像のカエルは、今年(令和3年)1月に津幡町の新庁舎が落成したことにともない時間外受付玄関に設置されました。実はこれまでも長く庁舎の北口玄関に置かれていたセメント製のカエルで、制作者は1999年に77歳で鬼籍に入られた故岡本七郎氏。津幡町には昭和19年に大洪水が発生したときに事前に家を一軒一軒まわって危険を知らせた忠犬がいて、岡本さんはその犬をモデルにしてたくさんの犬の置物を制作したことで町でよく知られた人でした。(※)その岡本さんが制作した、守ることにかけては忠犬にも負けない「無事カエル」が、今はここで住民の皆さんを見守っているそうです。

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※そのようなエピソードが伝えられているのですが、津幡町役場の方によりますと実際に一軒一軒まわって知らせたのは女性の方だったそうです。

◎日本両生類研究会は今年「第22回両生類自然史フォーラム」を秋田市において6月5日・6日に開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大によりZOOMによるWeb開催に切り替えて6月5日(土)に開催することになりました。

通常は会員のみの参加で行われますが、Web開催では会員以外の皆様の参加も歓迎いたしております。参加費は無料。参加ご希望の方は http://www.nbs.jpn.org/ の「第22回両生類自然史フォーラムのWeb開催のお知らせ」から5月31日までにお申し込みください。お申し込みのメールに氏名、住所等とともに「Webフォーラム申し込み(会員外)」と明記してご送信ください。

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今、リープフロッグ(=蛙跳び)が求められている理由

英語でカエルがぴょんと跳ぶことを意味する言葉「Frog's leap 」は、米カリフォルニアのワイナリーの名前でも知られますが、この10年ほどはLeapfrog(リープフロッグ=蛙跳び)という言葉に経済関連の記事の中で出会うことが増えました。

「リープフロッグ現象」「リープフロッグ型経済発展」といった表現が見られますが、特に今世紀に入って著しく進展したIT分野などの新しい技術を駆使することで、それまで後進国に位置づけられていた国々が先進国を追い越して世界をリードしていくことを示しています。

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『驚きがブレイクスルーをもたらす「リープ・フロッギング」の発想戦略』(ソ―レン・カプラン著 山本晶子訳 マグロウヒル・エデュケーション発行 日本経済新聞出版社発売)

ビジネス書でこの言葉が最初に使われたのは、2013年に刊行された『驚きがブレイクスルーをもたらす「リープ・フロッギング」の発想戦略』ではないでしょうか。ピンクの表紙カバーに、カリフォルニアワインのFrog's leapのラベルさながら「蛙跳び」するカエルのシルエットが描かれていました。著者のソ―レン・カプラン氏はまさにそのカリフォルニア在住のビジネスコンサルタントで、同書では「リープ・フロッギング」を「考えを制限する思い込みに打ち勝って、ブレイクスルーに到達するまでのプロセス」と捉えてビジネスに役立つ発想方法を伝授しています。

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『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』(野口悠紀雄著 文藝春秋発行)

そして昨年12月に出版された経済学者野口悠紀雄氏の著書『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』(文春新書)には、カエルの絵柄こそ出てきませんが、「リープフロッグ」が世界経済を読み解き、日本のこれからを考える上で重要なキーワードになっていることがグローバルヒストリーの見地に立って解説されています。大航海時代から産業革命に至る欧米の覇権争いに伴う転換期にはリープフロッグが起こっていたという説明は、頭の中で久しぶりに開いた世界史の教科書にカエルが跳びこんで来て波紋を広げたように伝わりました。そして、現在、「リープフロッグ型経済発展」が見られる中国やアイルランド、20世紀で社会システムが完成してしまったかのようで「リープフロッグ現象」が起きにくくなっている日本。それでも野口氏は「どんな場合でも逆転の可能性を信じてあきらめないこと」の大切さを説いています。

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絵本『999ひきのきょうだいのはるですよ』でお花見気分

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『999ひきのきょうだいのはるですよ』(文木村研 絵村上康成 ひさかたチャイルド刊)

啓蟄(3月6日頃)を過ぎても、三寒四温、寒くなったり、暖かくなったり。本格的な春を感じるまではもう少し時間がかかりそうです。

そこで一足早く春を感じていただくために紹介する絵本がこの『999ひきのきょうだいのはるですよ』(文 木村研/きむらけん、絵 村上康成/むらかみやすなり、ひさかたチャイルド刊)。

「はるですよー。おきなさーい。」とおかあさんに言われて、桜が満開の頃に活動を開始した「999ひきのきょうだい」のカエルたち。でも、おかあさんがいくら数えてもこどもの数は998ひき。どうもおおきいおにいちゃんがなかなか起きない、ねぼすけさんのようでした。

ようやく起きたおにいちゃん、今度はおとうとたちを連れて、他のねぼすけな生きものたちを起こしに行きます。カメやトカゲやテントウムシ、そして……。起こされなければ今年も桜の満開を見逃していたというカメのおじいさんに感謝されて、桜の花をみんなで見上げるシーンが素敵です。

さて、この999ひきのカエルさんたち。絵本ではカエルの種類は特定されていませんが、緑色の体色に黒い斑点の感じからトウキョウダルマガエルか、その亜種ナゴヤダルマガエルだろうかと想像しました。トウキョウダルマガエルの繁殖期は4月下旬から7月と見られているので桜の季節にも重なって、メスの一腹中の卵の数は約800~2800個(「カエル探偵団HPより)なので、999ひきのきょうだいのおかあさんの可能性もあります。もちろん、自然界では絵本のような子育てはしませんけれど。

今年のお花見もカエルの観察もまだまだいつものようではないかもしれませんが、999ひきのきょうだいのカエルのおかあさんのような気配りのもと、楽しい時間を過したいものです。

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童話『もぐりのへたなアカガエルケプル』と北国の春

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『もぐりのへたなアカガエルケプル』(髙橋健著・上矢津画 小峰書店刊)

カエ~ル大学では、カエルが表現された絵本や童話を紹介する講座なども開いたことがあり、その一端を「コトバデフリカエル」でも「カエル白書」で報告しています。本ブログでも今年は100年カエル館で所蔵している絵本や童話から、季節に合わせた内容の作品を紹介させていただきます。

今回紹介する一冊は『もぐりのへたなアカガエルケプル』(髙橋健/たかはしけん著、上矢津/かみやしん画、小峰書店発行、1985年初版)。アカガエルといえば、今年も「カエル探偵団」の「アカガエル産卵前線」は北上中で、アマミアカガエルやリュウキュウアカガエルは昨年末には産卵の報告があり、今年1月31日の報告ではヤマアカガエルは埼玉県まで、二ホンアカガエルは愛知県まで達しています。詳しくは「カエル探偵団」サイトhttp://kaerutanteidan.jp/をご覧ください。

「もぐりがへたなアカガエル」と題されたケプルが主人公のこの童話は、同じ著者のシリーズ「キタキツネチロンとなかまたち」の一編なのでケプルは北海道に分布するアカガエル、エゾアカガエルではないかと想像します。ケプルがなぜもぐりがへたかというと、去年生まれたばかりで初めての冬ごもり明けのカエルだから。春がいつ頃やってくるかもわからなかったという設定で、実際、野外のカエル、特に初めての冬眠を経験したカエルにとって春を迎えるにもさまざまな困難を乗り越える必要があるようです。

そうして何とか春を迎えたケプルは、「ヒツジグサのある小さなぬま」に棲んでいます。ヒツジグサはスイレン科の植物。作品に描かれた小さなぬまの春の風景はほのぼのとしているのですが、ケプルは身近にコイなどの大型の魚やタンチョウ、ヨシキリ、カイツブリといった鳥類と遭遇するシーンがあり、食べらる危険があり安心してはいられません。自らはユスリカ、ハエ、ブヨなどを食べます。

アカガエルの友だちではピョルというみごとなジャンプを見せるカエルが登場します。しかし、春の嵐で大雨に流されたか、その時現れたシマヘビに食べられたか姿を消します。そして、夏がやって来て、再び冬が来る。そんな北の大地に棲むカエルや生きものたちの喜怒哀楽が伝わってくるような童話です。

さて、北海道といえば毎年一番早く届く、カエルがテーマのイベント情報は札幌にあるCous Cous Oven + Hoppers のカエル展です。今年も啓蟄に合わせて開催される「手作りカエル展」。出品の締め切りは2月14日ということなので詳しくはCous Cous Oven + Hoppersサイトhttps://couscoushoppers.com/ でご確認ください。

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