今年もカエルとともにどうぞよろしくお願いいたします

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柴田まさる画「トラアシネコメアマガエル」

新年明けましておめでとうございます

今年の干支に因んで、カエル好きの画家、故柴田まさるさんが描いたトラアシネコメアマガエルを紹介いたします。この種は南米のアマゾン川流域に分布していて、その体や行動の特徴はMonky Frog、Orange-sided Leaf Frogなどいくつかある英名によく表れています。

もうひとつが、Tiger-striped Leaf Frog。和名がトラアシネコメアマガエルです。確かにわき腹から肢にかけてのストライプがトラ柄のように見えます。天敵を混乱させる迷彩色になっているのでしょう。繁殖期以外は高い樹の上で生活しているのでなかなか出会えないカエルのようです。

同種のようなネコメアマガエルのなかまの学名にはmedusa(メドューサ)という言葉が入っていて、その目を見つめたらきっと固まってしまうと思えるほど美しいのだろうと、『ときめくカエル図鑑』にも書きました。昨年文庫化した本書では、近年、両生類の分類体系が大きく変化していることから単行本のときの学名の変更が多くありました。

このトラアシネコメガエルは掲載しませんでしたが、本種の学名もPhyllomedusa tomopternaからCallimedusa tomopternに変更されています。もちろんmedusaは入っています。

今年も身近なカエルから世界のカエルまでいろいろな情報を集めたいと思っています。

100年カエル館は今年もコロナの状況を見ての活動となりますが、再開の準備は進めていますのでもう少しお待ちください。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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メリー・クリスマスの心を伝えるカエルたちの物語

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 朝起きて窓の外を見て、庭木に白く降り積もった雪に、「雪だ!」と叫ぶとき、心は子どもの頃に帰ります。

 世界が一晩で変わってしまったように見える不思議。そして、クリスマスがやってきます。

 その頃、世界各地の雪の降る地域ではカエルは冬眠していて活動はオフシーズンのはずなのに、絵本や童話ではカエルたちがクリスマスを楽しみにしています。

 たとえば、日本ではどちらも1970年代に翻訳が出版された米国の『がまくんとかえるくん』シリーズと、『ひきがえるとんだ大冒険』シリーズ。

 アーノルド・ローベル作の『がまくんとかえるくん』はシリーズ4冊のうち、『ふたりはいつも』に「クリスマス・イブ」のお話があり、ひきがえるのウォートンとモートン兄弟の活躍を描くシリーズには、「ウォートンのとんだクリスマス・イブ」があります。

 冬眠中とはいえ、童話作者に描かれるカエルたちの家の中は暖かく、おいしそうなごちそうの匂いに満ちていて、その日はクリスマス・ツリーやクリスマスプレゼントが用意されています。

 でも、ストーリーの中でそんな幸せな時間は簡単にはやって来ません。      

 予定より遅くなっている「かえるくん」を待っている「がまくん」は、心配でしかたなく「かえるくん」が遅れている理由にアレコレ妄想を膨らまし大げさなレスキュー体勢で外に出ます。  

 一方、ひきがえるのウォートンは、弟のモートンが得意の料理をつくって待っている家に帰りたくても、雪の中で道に迷い、ほっとけないモグラや横暴なクマとの遭遇で思いがけない困難を抱え、もう二度と家には戻れないかもしれないとさえ思います。

 それはもしかすると、私たち誰にも経験のある、クリスマス・イブに待ったり、待たせたりしたときの切ない思いに通じるかもしれません。

 日本でもすっかり歳時記になったといえるクリスマス・イブ。この日だからこそ言えること。子どもたちに人を思いやる気持ちを伝えたいとき、大切な人に感謝の思いを告げたいとき。そんな雪の中に落としてしまって見失いかけた言葉を素直に受け取れる、心のプレゼントになるカエルたちの物語です。

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我らが「カエル愛」、受賞なるか!

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まもなく発表される「新語・流行語大賞」にノミネートされた「カエル愛」。

 思い返せば20年ほど前、それまではなぜかあまり表立って「カエルが好き」と言えなかった人が、「カエラー」と称して(歌手の安室奈美恵さんのファンがアムラーと呼ばれていた頃です)、カミングアウトし始めました。

 その頃、私たちは自分たちが企画するイベントなどで、来場者の方々に「カエラー度チェック」にトライしてもらうことがありました。たとえば、

緑のカタマリを見ると「カエルだ!」と思わず駆け寄ってしまう。

気づくと部屋の中にカエルグッズが増えていた。

旅行はカエル・スポットと決めている。

水族館にはカエルを見に行く。

ファッションにカエルの小物やアクセサリーは欠かせない。

など、カエル好きにありがちな性格や行動、関心事の項目を50以上挙げて、レ点を入れていただきました。

 2012年に私は『かえるる』(山と溪谷社)という本を出版したのですが、そのサブタイトルは「カエルLOVE111」。導入には「本書は、徹頭徹尾『かえる愛』にもとづいた本」と書きました。

 そして、2021年のオリンピックイヤーの今年、「カエル愛」が注目される功労者となったのは、ボクシングのゴールドメダリスト、入江聖奈選手でした。その発言「カエル関係の職種に就きたい」「カエルのためにも金メダルが取れてよかった」には、カエルのみならず、多くのカエル好きも我が意を得たのではないでしょうか。

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 今回、他に候補になった新語に「Z世代(1997年頃から2012年頃までに生まれた世代)」がありますが、ゲームも大好きという、現在、21歳の大学生、入江選手もZ世代。 

この世代はデジタルネイティブで、自分の世界を持ち、さらに国境を越えた人とのつながりもつくれると期待されています。

 その代表のような入江選手が、ピョーンとリープフロッグ(蛙飛び)して世界を相手に活躍したことで、どちらかと言うと、マニア的な趣味の世界から生まれた「カエル愛」を飛躍的に進化させた功績はとても大きいと思います。

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フジモトマイコ作品展で小さなカエルちゃんを見つけてください。

フジモトマイコ作品展が大阪の「あべのハルカス近鉄本店」で16日まで開催されています。テーマは「―私の小さな灯台ー」。切り絵コラージュやドローイングで繰り広げられるその世界は、今回もシュールなのにクスッと笑えてあたたかく、寒い季節を迎える前にぬくもりをチャージできそうです。

それにどこかに"カエルちゃん"が潜んでいるかもしれないのもカエル好きにとっては楽しみです。こっそり(⁈)おしえていただいたところ、冬眠前の(⁈)カエルを2匹見つけました。

■フジモトマイコ作「逃げられた!」

クロネコさんの体と目の動き、それをかわしたカエルちゃんの俊敏さが痛快です。

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■フジモトマイコ作「おかえり。ただいま。」

コロナで「おうちに"無事カエル"がいてくれるとホッとする」気持ちが表れています。

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フジモトマイコ展 ―私の小さな灯台ー

会期◇ 2021年11月10日(水)→ 16日(火)

(最終日は午後4時まで)

会場◇ あべのハルカス近鉄本店 タワー館11階 アートギャラリー

〒545-8545大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 

TEL.06-6624-1111

 

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絵本『ガマ田先生にまかせなさい』■冬眠するカエルたちへのガマ田先生からのアドバイス

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富安 陽子・作 小笠原まき・絵(学研1997年初版)

 11月に入り、日本ではカエルたちの多くが冬眠の準備を始めている頃かもしれません。「みどり沼」のほとりで開業医を務めるガマ田ガマの介先生も冬のにおいのする頃になると、ねむたくなって「ガマ田医院」の看板をおろし、「冬みん中」と書いた札をぶら下げるそうです。

  絵本『ガマ田先生にまかせなさい』の中でのこと。この先生、「このガマ田ガマの介になおせん病気はない」が口ぐせだけあって、自他ともに認める名医のようです。でも、医者の不養生でしょうか、料理上手なガマ奥さんがつくるおいしい食事を食べ過ぎて、いささかオーバーウエイト気味。特に奥さんの得意料理、バッタ・ステーキのヘビイチゴソースとテントウムシのグラタンには目がないガマ田先生です。

 確かに、医者としての治療の腕は評判通りなので、体調の悪くなったいろいろな生きものたちが頼ってきます。卵を食べただけで発症したイタチのピィピィ病も、コウモリ宮殿に住むコウモリ大王の重症の虫歯も治療しました。恐ろしい青大将が原因で患っているヒヨドリのないしょ病は、ガマ田先生が青大将と果敢な心理戦を繰り広げることで解決したのですが、そのリベンジに患者としてやってきた青大将に今度はガマ田先生自身が丸呑みにされ、あわや・・・。でも、大丈夫。医者らしい好奇心を発揮して、みごとに撃退しました。

 カエルたちは、秋頃から寒くなって動きが鈍くなり、最低気温が5度を下回る頃になると冬眠します。でも冬眠の場所選びや準備に失敗すると、翌春を迎えられないこともあります。「冬みんまでの間に、うんとえいようをとらんといかんからね。」とは、冬眠する生きものたちへのガマ田先生の医者としてのアドバイスに聞こえました。

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カエルに会える水族館■アクアマリンいなわしろカワセミ水族館のカエルたち(福島県)

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カジカガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■福島県にある2つの水族館

 福島県会津地方の猪苗代町にある「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」(以下カワセミ水族館)。

福島県には公益財団法人ふくしま海洋科学館が運営する水族館が2つあります。ひとつは平成12年に太平洋側のいわき市小名浜に開館した「アクアマリンふくしま」で、地上4階、延べ床面積15,233㎡の大きな水族館です。「海を通して『人と地球の未来』を考える」を理念に掲げ、「環境水族館宣言」をしています。

そして、もうひとつがこの「カワセミ水族館」で猪苗代湖の近くにあり、湖沼や川など淡水の生きものを中心に飼育、展示している水族館です。

 

■カワセミ水族館で出会えるカエルたち

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20㎝キューブ水槽のカエル・イモリ展示

同公益財団カワセミ水族館チームのチームリーダー、平澤桂氏に同館のカエルの生体展示について伺いました。「県内在来種11種類を20㎝キューブ水槽で『おもしろ箱水族館~生物多様性の世界~』として展示しています」。福島県に生息しているカエルは、在来種の二ホンアマガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、二ホンアカガエル、ヤマアカガエル、タゴガエル、ツチガエル、カジカガエル、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、トノサマガエルの11種と、外来種のウシガエルで12種類。「ウシガエルは『外来種の脅威コーナー』の90㎝水槽で展示しています」。来館者はすべてのカエルの展示を見て「福島県内にこんなにたくさんの種類のカエルがいるのかと驚く声も聞かれます」と平澤さん。

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モリアオガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

同館が開館したのは2015年。その年の秋には「かえるふくしま」をテーマに、福島県在住の新聞記者で自然カメラマンの矢内靖史さんの写真展を開催しました。「福島県は東日本大震災、そして原発事故により県内の自然環境が大きく変わりました。カエルたちの目に震災後の福島がどう映っているのかを考えながら撮影された矢内さんの写真は、多くの来館者の心を捉えました」。

 

■「会津は両生類の宝庫」と研究者

 「アクアマリンふくしま」は「新潟市水族館マリンピア日本海」と友好提携をしていますが、会津は歴史的に新潟県とのつながりが深くその地理的な環境条件を考えても、カエルなど両生類は太平洋側からの水系と日本海側の水系両方の影響を受けているかもしれないと研究者の方々の間では関心をもたれていたようです。

 2018年に100年カエル館は日本両生類研究会との共催で、同会創設20周年記念の自然史フォーラムをカワセミ水族館からも近い喜多方市で開催しましたが、そのフォーラムでは、生物学博士の吉川夏彦氏に「福島県の両生類 東西の勢力がせめぎ合う場所・会津」という演題で講演をしていただきました。吉川氏は「2017年版ふくしまレッドリスト」の調査員として会津の両生類を調査した経験から、サンショウウオやカエルの分布を通して会津という土地の興味深い特徴を解説してくださいました。「会津は両生類の宝庫」とも。

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左はアズマヒキガエル、右はトノサマガエル(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館)

■カワセミ水族館を楽しもう

 そんな会津のカエルなど両生類に出会ってみたいときには、最初にここカワセミ水族館を訪ねてみてはいかがでしょう。また、会津を含め福島県のカエルについてのご質問は同館HPのお問い合わせフォームでご対応いただけます。

 また同館では、県内に生息する12種類のカエルの缶バッチセットも販売していて人気です。福島県のカエルたちとの出会いの記念に、コレクションアイテムにいかがでしょうか。

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 【アクアマリンいなわしろカワセミ水族館】〒9693283 福島県耶麻郡猪苗代町長田東中丸34474  TEL.0242-72-1135

https://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/

 

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海と空とカエルと、一枚の布に誘われて

最近、夏休みが終わって登校が始まった近所の小学生の女の子とすれ違い、朝の挨拶を交わしました。すると、その女の子がやって来た方角にある住宅の階上から「行ってらっしゃーい」「気をつけてねー」と窓に張りつくようにして涙声で叫ぶ幼い女の子の姿が見えました。長い夏休みをお姉ちゃんと過ごした妹さんなのでしょう。お姉ちゃんは意を決しているかのように振り返ることもなく遠ざかっていきます。そのランドセルを背負った後ろ姿が印象的でした。

そんなふうに夏休みの終わりを感じたら、カエルが登場する絵本や童話について書く宿題を終えていない気がして……。今回は2冊紹介いたします。

どちらにももちろんカエルが登場しますが、どちらのカエルも1枚の布を手に入れることで、自分を取り巻く世界を変えることができました。1枚は青いバスタオル、もう1枚は赤いハンカチで。

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『うみをあげるよ』(山下明生・作、村上勉・画、秋書房、1977年刊行)

『うみをあげるよ』では、団地の上の階に住んでいるワタルくんの、それがないと眠れないほど大事にしている「あおい すてきな タオル」が、ある日、ベランダの物干しから風に飛ばされてしまします。そして、その青いタオルは、ワタルくんの家の近くの森に住んでいるカエルの兄弟が、初めて目にした「うみ」になりました。海を思いっきり楽しむ2匹のカエル。タオルの端にとまったホタルの光は灯台に思えたようです。ワタルくんもカエルたちを見守っているうちにちょっとお兄ちゃんになっていきます。作・画のお二人によるカエルが登場する絵本は「かえるえんみどりぐみ」シリーズなど、他にも読むことができます。

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『カエルのフレディ空を飛ぶ』(ジーグムーント・フレンケル作、きしむらこたろう訳、PHP研究所、2000年刊行/現在品切れ)

 一方、赤いハンカチで凧を作って、空へと飛び出したのは『カエルのフレディ空を飛ぶ』のフレデイです。やはり、干してあった洗濯ものが風に飛ばされてきたのか、こちらは1枚の「真っ赤なハンカチ」を手に入れます。フレディはその活用のしかたをあれこれ考えて、ついには2本の小枝を使って凧を作ることに。そうして、カエルにはできないような空の旅に出て、そこで出くわしたコウノトリの攻撃に対しても知恵を絞って応戦します。作者のジーグムーント・フレンケル氏(1929-1997)は、ポーランド生まれで、ロシア、イギリス、ベルギーでの生活を経て、イスラエルに定住して創作活動をしました。そのコスモポリタンらしい視点なのか、ちょっとシニカルですが世の中を渡るときのヒントがいろいろ発見できる大人のための絵本です。姉妹本に『カエルのフレディ海を行く』もあります。

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ポルトガルで作られているアズレージョのカエルは何ガエル?

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アズレージョとは、ポルトガルの伝統工芸のタイルのこと。首都リスボンをはじめポルトガルの街を歩いていると建築物の壁面などによく見られるタイルのようです。

アラブ語でモザイク片を意味するaz-zulechaに由来するアズレージョ。国立アズレージョ博物館などの情報によりますと、元々は14世紀にイスラム教徒によってスペインに持ち込まれたものが、15世紀後半にスペインのセビリアからポルトガルに輸入されました。

さらに16世紀初頭には、ルネッサンス期にイタリアで発祥したマヨリカ焼の技術がポルトガルにもたらされたことでタイルに直接彩色できるようになり発展し、いまもポルトガルの建築や芸術に欠かせない伝統技術として受け継がれています。

初期のアズレージョにはアラブ風の幾何学的な模様が多かったのですが、17世紀以降人物や動植物、そして歴史的な物語や地域の歴史などが描かれるようになりました。青色の彩色がポピュラーですが、多彩色のアズレージョも見られます。

 

ショップなどではタイルだけでなく、このカエルのようにアズレージョタイルの陶芸技術を使ってつくられた小物も販売されています。そしてこうしたカエルの置物を見ると、ポルトガルでは作り手の方々が自然に生息するどんなカエルから着想してこの“カエル”を製作したのだろうと思いを巡らしてしまいます。

改めて地球儀を回してみると、ポルトガルはヨーロッパ大陸の最西端のイベリア半島に位置しています。何種類のカエルが分布しているかわかりませんが、形態からするとアカガエル科のカエルと類推すれば、ポルトガルにはその英名にイベリアと付くアカガエル科のなかま、Iberian Frog(イベリアアカガエル)やIberian Water Frog(ペレスワライガエル)がいて、アズレージョにふさわしい寒色系の体色からするとペレスワライガエルあたりだろうかなどと勝手に同定してみました。

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画業50周年の久保修さんと切り絵のカエル

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「笑談」(久保修作)

切り絵という美術表現のジャンルは、古今東西に見られ、カエルが表現されていることもあります。中国では漢代から作られていたようで、カエルの神話が遺る陜西省には13番目の干支とも云われるカエルが十二支の真ん中に据えられた切り紙なども伝えられています。100年カエル館にも中国やオランダの切り絵のカエルや、日本には寄席の紙切り芸があり、その第一人者の林家正楽師匠にカエルをテーマに切っていただいた作品、そして、現在、切り絵作家として国際的に活躍している久保修さんによる蓮と蛙を表現した作品を収蔵しています。

今の季節、大賀ハス(古代ハス)の開花の話題も聞こえてきますが、その古代の自然風景も蘇るような大きな葉の上で開花を喜ぶような2匹の蛙。久保さんは誰の心にもある日本の風景や風物を切り絵という表現を通じて、多くの日本人にとっては記憶のような、海外へは日本の再発見につながるようなイメージを「紙のジャポニスム」として創作し続けています。その画業は今年で50年。久保さんのオフィシャルサイトhttp://www.shu-kubo.com/ では、作品ギャラリーの「日本の風景」のさまざまな作品とともに、この蓮の上の2匹の蛙を表現した作品「笑談」を見ることができます。

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童話『カエル水泳きょうしつ』に学ぶカエルのこと

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『カエル水泳きょうしつ』(岡野薫子 作・画 あかね書房刊)

夏、水辺が近くにあればカエルたちが元気に鳴く声も聞こえる季節。映画や絵本の中で、水に親しむカエルを見るだけでもとてもうれしくなります。

映画シリーズ2作目を前に『ピーターラビット』(ウィル・グラック監督作品、2018年)がテレビで放映されていましたが、「ピーターラビット」のカエルといえば、かえるのジェレミー・フィッシャーどん。映画でもイギリスの湖水地方の水辺で釣り糸を垂れるその姿が見られました。

原作者のビアトリクス・ポター(18661943)は、生きものの観察や自然保護活動にも熱心だった人で、うさぎのピーターやかえるのジェレミーが人間と同じようにものを考え、話したりできても、その姿や行動はそれぞれの生きものの特徴を細やかに映し出しています。

そして、今回のブログでは夏らしいカエルの絵本を読みたいなと思っていたところ、手にしたのが『カエル水泳きょうしつ』。童話作家の岡野薫子さんが1977年に出版した本です。岡野さんの童話の数々にもポター作品同様にいろいろな動物たちが描かれています。その1冊に登場したのが、主人公の女の子エミちゃんに水泳をおしえるカエルたち。表紙画に見えるような水着姿のカエルたちが、家族の中で唯一まだ泳げない小学2年生のエミちゃんのために水泳教室を開いてくれるのです。

そんな日常にはあまりない設定もエミちゃんが電信柱に貼ってあった小さな、小さな案内を見つけることで、絵本の中で実現していきます。その案内の「やじるし」を追って進んでいくと「やじるし」は少しずつ大きくなり、「カエル水泳きょうしつ」の受け付けに、エミちゃんの背丈よりも大きい、帽子をかぶったカエルが待っていました。どうも「やじるし」を追うごとにエミちゃんの体のほうが小さくなっていったようでした。

そして、エミちゃんが数日かよった「カエル水泳きょうしつ」でのカエルたちとのやり取りの楽しさは、クレヨンや鉛筆で描かれた夏休みの絵日記のような挿絵とともに水しぶきまでいきいきと伝わってきます。

エミちゃんはカエルの先生たちから体に力をいれなければ水に浮くことができることやカエルおよぎまでいろいろ教えてもらいます。読み手がなるほどと思わせられたのは、カエルは手(=前あし)で水をかかなくても水面から常に目や鼻を出せるからかスイスイ泳いでいけること、それができないエミちゃんはカエルたちのように目と鼻を水の上に出すために背泳ぎをしようと思いつきます。これにはカエルの先生たちも驚いてエミちゃんにその泳ぎ方を教えてもらうのですが、カエルの場合背中を下にして水に浮いたとたんバネ仕掛けのおもちゃのようにひっくり返ってしまったという、まさにカエルと人間の体のつくりの違いがわかるエピソードもありました。

科学映画の脚本家を経て児童文学の作家になった岡野さんの作品には、ポターに通じる、自然観察者の目とファンタジーを生み出す創造力を併せもった表現力を感じました。

「カエル水泳きょうしつ」が開かれていた池は、エミちゃんの家の近くの「こうしんさま」のお堂のところにあったと書かれています。庚申さまとは猿田彦大神のことでもあり、道ひらきの神様ともいわれるこの神様の使い神がカエルだと考えると、エミちゃんに泳げる道をひらいてくれたのもこの神様だったかもしれないと民俗学的な想像をふくらますこともできました。

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