マジョルカ島に棲む子育てするカエルとマジョリカ焼のカエル/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル78「ほっと・ねっと」2023年6月
<マジョルカ島に棲む子育てするカエルとマジョリカ焼のカエル>
高山ッビッキ(100年カエル館)
スペインの東に位置するマジョルカ(マヨルカとも)島。訪ねたことはないのですが、100年カエル館の収集品に「マジョリカ焼のカエル」があります。
陶器の底に「R.Tallin〝Majorica(マジョリカ)〟と印字された睡蓮モチーフのティーポット(写真)。取っ手のデザインが大航海時代のコロンブスをイメージさせるような帽子や装いのカエルになっています。このコロンブス風のカエルと当時の女性の装いをしたカエルが「コロニアルスタイルのミスターとミセスのカエル」というテーマで、マグカップや小物入れなどシリーズ化してつくられた時期があり、今はヴィンテージ品になっています。
昭和の子ども番組「ひょっこりひょうたん島」には「魔女リカ」が登場しますが、ちょっと不思議なマジョリカのカエルに導かれるようにヨーロッパの焼き物について調べてみました。その伝統はイスラム文化に起源があり、15~16世紀大航海時代には同様の技法をもとに、オランダのデルフト焼などヨーロッパ各国でさまざまな焼き物が生まれるなか、イタリアでつくられるようになったのがマジョリカ焼とされています。
マジョリカ焼の名前はマジョルカ島に由来していますが、この島はスペインからイタリアへの錫釉陶器輸出の中継地だったようです。
さて、そのマジョルカ島には、マジョルカサンバガエルという、子育てをするカエルが棲息しています。「サンバ」はお産婆さん(英語でmidwife=助産婦)を意味しますが、水辺で繁殖活動する種が多いカエルは、産卵後は基本的に子育てをすることはありません。ただ棲息環境によっては、雌雄のどちらかが産卵後子どもが幼体になるまで面倒をみるカエルもいます。
主にヨーロッパに分布するサンバガエルは、雌のカエルが陸上に産んだ卵を雄のカエルがそのひも状の卵をうしろ肢に巻き付けて、卵が乾かないように湿った場所まで運び、子ガエルになるまで付き添います。
マジョリカサンバガエルもそんな珍しい繁殖形態をもつカエルの一種。
最近、静岡県河津町の体感型カエル館「カワズー」がその産卵に日本で初めて成功したことが報道されました。マジョリカ焼のミスター&ミセスもサンバガエルなのかもしれませんね。
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<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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