かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル57 「ほっと・ねっと」2021年9月号 ある会津人と小泉八雲、そしてカエル
<ある会津人と小泉八雲、そしてカエル>
高山ビッキ(100年カエル館)
9月に入って急に気温が下がり、道脇の草むらからは秋の虫たちの“演奏会”が楽し気に響いてきました。
日本人の暮らしの中には、スズムシやカジカガエルなど、心に染み入るような虫の音やカエルの鳴き声を愛でる風習が古くからありました。その美意識は、日本人特有とまでは言えなくとも、西洋人にはあまりない自然観であることを、異国からの来訪者の視点で評価したのは、小泉八雲、ラフカディオ・ハーン(1850―1904/以下ハーン)です。今でも日本では特にその短編小説『怪談』で親しまれています。
ハーンがビッキ(=カエル)と呼ばれていたと教えてくださったのは、私がビッキと名乗っていることを知った、島根県松江市にある小泉八雲記念館館長で、ハーンのひ孫でいらっしゃる小泉凡さんでした。
小泉館長には100年カエル館企画のフォーラムで二度ほど「小泉八雲とカエル」をテーマに講演をしていただいたことがあります。掲載した広告画像は、2011年に上野動物園で開催したときに制作したものです。カエル型宇宙人という設定の漫画のキャラクター、ケロロ軍曹と、明治の日本にやってきたハーン。「カエル」を共通項にもつ両者の「異界」からの視線を通じて、21世紀に求められている自然との共生について語っていただきました。
その打ち合わせで小泉館長に初めてお会いしたとき、喜多方(100年カエル館の所在地)にはとてもお世話になった方がいるとおっしゃっていました。ただその時は、お名前まで伺うのは遠慮しました。
しかし、その後、歴史小説家司馬遼太郎のエッセイ「ある会津人のこと」を読んで、その方とは、私たち姉妹にとっては母校喜多方第一小学校のときの校長先生、秋月一江先生なのではないかと思い至りました。
先生のご先祖である会津藩士秋月悌次郎は、明治に入って熊本第五高等学校で教鞭を執っていた時期がありますが、同じ頃、ハーンも同校に在職していたからです。
ハーンは秋月翁を「近づくと暖かくなる暖炉のような人」「神様のような人」と尊敬していたとそのエッセイには書かれていました。
会津人秋月悌次郎は、日本人の自然観同様、ハーンが発見し理想を見た日本の心そのものだったのでしょう。
■画像キャプション
上野動物園で開催したフォーラムのチラシ。ケロロ軍曹の右隣はイラストに描かれたハーンの後ろ姿。
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<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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