かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル56 「ほっと・ねっと」2021年8月号 鋤(すき)のような足のニンニクガエルは土の中がお好き
<鋤(すき)のような足のニンニクガエルは土の中がお好き>
高山ビッキ(100年カエル館)
ニンニクガエル(柴田まさる画)
猛暑のなか行われた東京オリンピック。一番印象に残った選手は誰?と問われれば“カエル好き”としては迷うことなく、ボクシング女子フェザー級のゴールドメダリスト、入江聖奈選手を挙げるでしょう。
世界に向かって「カエル好き女子」の存在を知らしめたのではないでしょうか。
「多様性」がテーマのひとつでもあった今回のオリンピック。何を好きかという、趣味嗜好も人それぞれであるという当たり前のことを、明るくあっけらかんと表明してくれました。
カエルは、生物多様性を象徴する生きものです。世界には約6500種のカエルがいて、それぞれ生息する自然環境に適応して生きています。
最近は日本でも水族館の生体展示や、世界の自然をテーマにしたテレビ番組などで外国のカエルを目にする機会が増えています。ただどちらかというと、見るからに日本のカエルとは違うビビッドな体色や珍しい生態をもつ、たとえばヤドクガエルやベルツノガエル、トマトガエルなど赤道付近から南半球に分布するカエルが紹介されることが多いように思います。
では、日本とは同じく北半球でもヨーロッパ大陸にはどんなカエルがいるのでしょうか。今年、世界自然遺産に登録された奄美・沖縄を擁する日本と違って種類はあまり多くはありませんが、魅力的な生態をもつカエルがヨーロッパ各地にいます。
一種挙げればヨーロッパ中部・東部を中心に分布しているニンニクガエル。スタミナがつきそうな名前のカエルですが、これは和名で、英名はCommon Spadefoot toad(コモン・スペードフット・トード)。スペードフットのスペードとは鋤(すき)のことで、かかとが硬い骨質で、これを鋤のように使って地面に穴を掘ります。ときには1mも掘って地下にもぐり、地上にエサを求めて出る夜間や春の繁殖期以外は、ずっと地中で過ごしています。
日本のカエルの場合、冬眠する時季でも倒木や枯れ葉の下、地中でもそれほど深くないところにもぐり、冬眠から覚めれば土にもぐることはなく地上で活動します。
カエルを通して日本や世界を再発見することも、「多様性」の理解につながるかもしれません。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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