かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル㊾「ほっと・ねっと」2021年1月号 走り出した2021年と今年の100年カエル館
<走り出した2021年と今年の100年カエル館>
高山ビッキ(100年カエル館)
令和3年1月3日、第97回箱根駅伝の復路10区では、100年カエル館が所在する福島県喜多方市で、また全国の喜多方出身の人々の間では、テレビ等の画面に向かって力強い声援が飛び交ったと思います。
東洋大学のアンカーが喜多方高校出身の清野太雅選手で、その総合3位を守り抜く走りに興奮しました。
ここに掲載している画像のカエルは、バリ島のウッドカービングのドアストッパーですが、駅伝選手の走りに見立てて紹介させていただいています。
東洋大学といえば、その創立者の井上円了(えんりょう)(1858ー1919)が昨今、静かに再注目されているように思います。
円了はすべての学びの基礎に哲学をおき、創設した哲学館が現在の東洋大学になりました。
その幅広い学術的興味の分野は「妖怪」を合理的・実証的に研究したことで「妖怪博士」と言われ、全国、国外を講演旅行し哲学や妖怪の話をしてまわり、その旅行記や講義録を多数遺しています。
21世紀に入り、鬼やアマビエをはじめ妖怪に関心が高まり、円了が大学教育を一般に広めるために講演や講義録の発行に尽力したことは、最近の生涯教育や通信教育につながるもので、その先見性が再評価されています。
東京・中野区に円了が建設した、ソクラテス、カント、孔子、釈迦を祀った「四聖堂」を中心に、円了が理想とした哲学の世界を建築物と四季の花々とともに、散策するだけでその教えに触れられる「哲学堂公園」があります。
正面口から入れば一番奥の方にカエルの像も見られます。
旅を友として生きた円了は、「観月」も趣味のひとつにし、その旅行記に「月の形状や様子、自らが抱いた感想等を記していました」(堀雅通「円了旅行記にみる月の描写・記述について」より)。
その中には時に読経のように、時にかまびすしく聞こえる蛙の声の描写もありました。
スタートを切った2021年。箱根駅伝では東洋大学の選手たちの走りを円了先生も応援していたのではないでしょうか。
コロナ禍の収束がまだ見えないなか、100年カエル館は今年も休館させていただきます。来年は再開できるように準備して参りますので、本年もよろしくお願いいたします。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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