かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル㊽「ほっと・ねっと」2020年12月号 来年は丑年、「ウシとカエル」の寓話に願いを込めて。
<来年は丑年、「ウシとカエル」の寓話に願いを込めて。>
高山ビッキ(100年カエル館)
ウィンタースポーツの季節到来。社会人になってから出会った人に「会津出身です」と告げると、「じゃあスキーは上手でしょうね」と返されることがあったのですが、小中学校のスキー大会のときはもっぱらソリにお世話になっていました。
スキーが得意だった同級生の「直ちゃん」は、大人になって再会したときご家族とフランスで暮らしていました。
ちょうど100年カエル館は「カエルタイムズ」の創刊の準備をしていたので、彼女に何かフランスらしいカエルの話を書いてもらおうとエッセイをお願いしたことがあります。
パリから届いた原稿は、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ(1621~1695)による、ウシとカエルが登場する寓話について。その暗唱の宿題をしているお子さんの様子を綴り、彼女自身も子どもの頃習ったことを思い出していました。
その寓話では、牛のように大きくなりたがった蛙が、自分もお腹を膨らませればなれると思い、これでもかこれでもかと膨らませているうちに「パアーン!」と破裂してしまいます。
ラ・フォンテーヌが幼い頃のルイ14世のために創作した寓話で、「外見ばかり気にしていると身を滅ぼすことになる」譬(たと)えとして今もフランスの子どもたちに伝えられているそうです。
ラ・フォンテーヌはイソップ寓話を基に創作したことで知られ、このウシとカエルの話もイソップ物語の「自分を膨らませる蟾蜍(ひきがえる)」が基になっています。
紀元前より伝わるイソップ寓話は、日本にも「伊曾保物語」として江戸期に入る前後から宣教師によってもたらされています。解釈はさまざまにできたとしても国際的に共通する道徳教育のベースになっていると言えるかもしれません。
その中には「蛙」が登場する話も他に「王様を欲しがる蛙」「兎と蛙」「鼠と蛙」など数点あり、おっちょこちょいでうっかり者のカエルを、訳知りのカエル、もしくは他の動物が戒める話を読むことができます。
古今東西カエルは人間っぽい感じが身近な存在として表現されてきたのでしょう。
来年は丑(うし)年ですので、イソップ物語を思わせるカエルの置物に運動不足を戒めるなど、健やかに暮らす努力をしたいと思います。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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