かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル㊻「ほっと・ねっと」2020年10月号“おうちギャラリー”で楽しむ「壁の国」のアリスとカエル
<“おうちギャラリー”で楽しむ「壁の国」のアリスとカエル>
高山ビッキ(100年カエル館)
19世紀の作家ルイス・キャロルの作品に『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』はあっても、「壁の国のアリス」はありません。
ただ今年のコロナ禍のなか、休館中の100年カエル館では、居住スペースの壁にアリスとカエルが描かれたポストカードを飾りました。100円ショップで購入したフォトフレームで額装してしつらえた、いわば“おうちギャラリー”です。
展示のテーマは「壁の国のアリス」。
アリスは「不思議の国」や「鏡の国」でいろいろな生きものやキャラクターに出会います。特に三月ウサギやチェシャ・ネコ、ハンプティ・ダンプティはよく知られていますが、実は「カエル」もアリスの前に現れています。
「不思議の国」では、巻き毛のカツラのようなものをかぶった「カエル顔の召使」(※)、「鏡の国」では、「あざやかな黄色の着物を着て、とほうもなく大きなくつをはいた」(※)老齢のカエルが登場します。アリスはどちらのカエルとも禅問答のようなやり取りをするのですが、うまく話がかみ合わず、イライラさせられます。
その「カエル」たちの姿は、キャロルがこの2つの童話を最初に出版したときに挿絵を描いたイラストレター、ジョン・テニエルによっても描かれています。今でもその絵柄はポストカードやマグカップをはじめ商品化されているので、私たちにとってはとても愛すべきカエルグッズになっています。
そんなアリスとカエルのポストカードを展示して創り出した「壁の国」(写真)。ここでは原作と違って「カエル」は準主役であり、アリスにとってかけがいのない友だちにすることにしました。
アリスがその夢のような物語の中で「カエル」に出会うのは、いつもドアの前でした。そのことがどんな意味をもっているのかわかりませんが、現代の日本人にはドラえもんの「どこでもドア」のイメージもあり、この「壁の国」のドアを開ければ、もう一つ別な物語も創れそうな気がします。
芸術の秋。そんな“おうちギャラリー”で、ご家族といっしょに過ごして、どこにもないファンタジーを語り合ってはいかがでしょう。
※『ふしぎの国のアリス』『鏡の国のアリス』(ルイス・キャロル作 生野幸吉訳)より。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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