かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル㊹「ほっと・ねっと」2020年8月掲載エッセイ
<カエルを食べるか食べないかに表れる国民性の違い>
高山ビッキ(100年カエル館)
キッチンの片隅にコットン生地のカエルのタペストリーを掛けてみました。これだけでステイホームが求められる今、料理の時間が楽しくなりました。
コミカルなタッチのイラストですが、ボウルからカエルの脚が見えているように、カエルのシェフがつくろうとしているフレンチキュイジーヌはカエル料理。なかなかスパイスならぬエスプリが効いています。
パリには「ロジェ・ラ・グルヌイユ」という1930年創業のレストランがあります。グルヌイユとはフランス語でカエルのこと。このレストラではフリット(フライ)やソテー、クリーム煮などのカエル料理が食べられます。
この店を訪れた知人が送ってくれた画像を見ると、エントランスや店内にカエルの絵や置物がディスプレイされています。
カエル料理を食べたいかどうかは別にして、カエル好きが行ってみたくなるとても魅力的なお店であることは間違いなさそう。カエル料理以外の料理もとても美味しいそうです。
世界にはカエルを好んで食べる国と基本的には食べない国があります。
同じヨーロッパでもイギリス人は食べません。イギリスには「トード・イン・ザ・ホール(穴の中のヒキガエル)」という料理があるのですが、こちらはオーブンで焼いたヨークシャープディングの中にゴロゴロと埋まっているソーセージを「ヒキガエル」に見立てた料理。これならカエルの好き嫌いとは別に美味しく頂けそうです。
日本でもカエルは一般的には食べられていません。カエルを食べない日本とイギリスには、19世紀以降、出版物やメディアなどでカエルを擬人化した、人気者のキャラクターを輩出しているという共通点があります。
たとえばイギリスには「ピーターラビット」シリーズにカエルの「ジェレミー・フィッシャーどん」や、日本の「ケロヨン」のモデルになった『たのしい川べ』の「ヒキガエル氏」がいます。
日本やイギリスでカエルは「食べる・食べられる」を超えた身近な友人のような存在になっているのかもしれません。
カエルを食べるか食べないかに表れる国民性と自然観の違いについて考えたくなりました。
<関連サイト>
「100年カエル館」 http://kaeru-kan.com
「カエ~ル大学」http://kaeru-kan.com/kayale-u
カエル大学通信 www.mag2.com/m/0001378531.html
※ブログ「高山ビッキBlog」http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/vikkiも配信中です。
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