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2020年5月17日 (日)

[カエル白書Vol.3」■かえるモノ語り歳時記2019年8月

 人はカエルも含めた動物とかかわることで表現力を育んできた>

高山ビッキ(100年カエル館副館長)

2019dm

 最近、動物をテーマにした美術展が人気を集めています。遠く海外では、今年の下半期、ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリー・オブ・アートと、ロサンゼルス・カウンティ美術館で「日本美術に見る動物の姿」展が開催されています。

 「日本美術に見る動物の姿」展では、日本の古墳時代の埴輪から現代アートまでのさまざまなジャンルの芸術の中から動物が表現された作品を紹介しています。日本の表現文化に見られる「動物」は、近しい友達のような存在だったり、超自然的な崇高さを放ったりと、その多彩さは日本ならではのものがあるようです。

 動物がテーマの展示イベント。この秋は会津若松の福島県立博物館で「あにまるずー―どうぶつの考古学」(2019年9月7日~1117日まで)が行われます。動物を表現した縄文土器など昔の日本人の思いがこもる考古学的遺物を見ることができます。

 その開催期間中、エントランスでは918日から1027日まで「100年カエル館のときめくカエルアート図鑑」展もご覧いただけます。

 昨年、愛知県碧南市から喜多方に引っ越してきた(途中、東京・新宿で展覧会を開催)、2015年に世を去るまで43年間、カエルの絵を描き続けた柴田まさるさんの作品のカエルたちを展示します。

 この“カエルの画家”が、大好きなカエルをまさにその多種を多様に描いた作品の数々をいくつかのカテゴリーに分けて紹介します。

 柴田さんは何種ものカエルの後ろ姿を「背中シリーズ」として描きました。その一方で、カエルの正面を描いた作品もたくさん遺しています。

 日本には、現在外来種や亜種も含めて48種のカエルが記載されていますが、柴田さんは40種以上のカエルの顔を描き分けています。

 柴田さんの作品群全体を見渡してみると、種が特定できるリアルなカエルの顔が、人間味のある顔に移行したのではないかと思われる作品も見られます。この“移行”は、自然を客観的に描写する「花鳥画」と、描き手の主観性が強まってその思い入れが投影された「文人画」との違いを浮かび上がらせているようでもあります。秋の展示イベントは、その違いを感じていただく場になればと思います。

 さらにそのカエルの表現は抽象性を高めてポップアートに。人はカエルも含めた動物と身近にかかわる生活をすることで、多彩な表現力を育む可能性を、柴田さんの作品を通してお伝えできればと思っています。

※「カエル白書」(A5版 モノクロ 68ページ)Vol.1とVol.2は1冊1000円(税込・送料込)で販売しております。100年カエル館HP http://kaeru-kan.com でお申し込みいただけます。

Vol.1内容/◎黙阿弥のひ孫、演劇研究家氏のコレクション展(福島県立博物館にて)報告 ◎明治生まれのカエルグッズコレクター、小澤一蛙のコレクションから見えてきたこと ◎自然とカエルの話題 ◎カエル文化的話題 ◎高山ビッキ連載カエルコラム 他

Vol.2内容/◎「カエルアートミュージアム~進化するカエルアート」展(京王プラザホテルロビーギャラリーにて)報告 ◎カエル先生、岩澤久彰コレクション展」から見えたこと ◎第20回記念両生類自然史フォーラム報告 ◎カエルグッズでめぐる世界の“カエル旅” 他

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