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2012年7月11日 (水)

2000年 愛がこわれるとき(映画に住みたい)

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「愛がこわれるとき」

雑然を楽しむ幸福

高山ビッキ・文

アメリカ映画では、今どんな家に住んでいるかが、その人の地位的なものは言うまでもなく、精神状況までも映し出す重要な表現になっている。

ジュリア・ロバーツ演じるヒロイン、ローラは投資コンサルタントとして成功しているビジネスエリートの妻である。そして、その家はたぶんロングアイランドあたりの海辺に建てられたスーパー・モダンな白い家。

開口部がこれでもかというほど大きく、家全体をぐるりと取り囲んでいるのにちっとも明るくないのは、その夫婦関係のためである。

独占欲が強く、潔癖症の夫からの虐待に怯える日々。ついに、ある日、溺死したと見せかけて夫のもとを脱出することに成功したローラ。

アイオワの田舎町で一軒家を借り新しい生活を始めるが、夫との生活では、バスルームのタオルの掛け方、キッチンの戸棚の中の缶詰の並べ方まで整然とさせることを強要されてきただけに、新しい生活ではあえてそれを崩すことをまず楽しむ。

家事や掃除が決して嫌いなわけではなく、「雑然」の状態を幸せと感じ楽しめるというのもセンスのひとつかもしれない。

■「愛がこわれるとき」(日本公開1991年)監督:ジョセフ・ルーベン脚本:ロナルド・バス出演:ジュリア・ロバーツ パトリック・パーギン ケヴィン・アンダーソン 製作国:アメリカ

(200010月住宅メーカーPR誌掲載)

※この文章は高山ビッキが2000年に企業のPR誌に執筆したものをほぼそのまま掲載しております。無断転載を固く禁じいたします。※本サイトへのお問い合わせはケーアンドケーまで03(3981)7985

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