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2012年7月11日 (水)

2002年 シャンドライの恋(映画に住みたい)

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「シャンドライの恋」

恋とインテリアには時間をかけたい

高山ビッキ・文

恋とは、その相手との心の距離感を縮めようとするあまり、変わる感覚のこと、でもある。

日頃食べるのも、耳にする音楽も違う男女が出会い、お互いの存在が気にかかる。

男は、ローマのらせん階段のあるお屋敷に住む白人のピアニスト、キンスキー。女は、夫が政治活動で投獄された後、医学の道に進むためにローマに来てこのお屋敷の使用人として働き始めた褐色の女性、シャンドライ。

初め、二人の間の恋の距離感は遥かに遠い。

シャンドライはお屋敷を掃除しながら聴く、キンスキーが奏でるクラシック音楽も、ひとつひとつ丁寧に磨くトラディショナルな趣の家具や調度品、絵画、そして引き籠りがちなこのピアニストのことが理解できない。

そんなシャンドライにキンスキーは不器用なほどストレートに愛を告白する。しかし、彼女には、夫がいること、キンスキーのことが理解できないことを訴え、拒絶した。恋の距離感は明らかに広がる。

だが、それからのキンスキーの行動の変化が恋の成せるワザだ。「アフリカについて何を知っているというの」というシャンドライの言葉によって彼自身の音楽が変わり、お屋敷のインテリアが変わり、その変化を感じるシャンドライの気持ちも変わっていく…。

そして二人の間の心の距離感が最高に狭まった時に、辛いエンディングが待っているという、大人の恋の物語である。

■「シャンドライの恋」(日本公開2000年)監督:ベルナルド・ベルトリッチ脚本:ベルナルド・ベルトリッチ クレア・ペプロー出演:タンディ・ニュートン デヴィッド・ショーリス製作国:イタリア、イギリス

(20024月住宅メーカーPR誌掲載)

※この文章は高山ビッキが2002年に企業のPR誌に執筆したものをほぼそのまま掲載しております。無断転載を固く禁じ致します。※本サイトへのお問い合わせはケーアンドケーまで03(3981)6985

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