2002年 シャンドライの恋(映画に住みたい)
「シャンドライの恋」
恋とインテリアには時間をかけたい
高山ビッキ・文
恋とは、その相手との心の距離感を縮めようとするあまり、変わる感覚のこと、でもある。
日頃食べるのも、耳にする音楽も違う男女が出会い、お互いの存在が気にかかる。
男は、ローマのらせん階段のあるお屋敷に住む白人のピアニスト、キンスキー。女は、夫が政治活動で投獄された後、医学の道に進むためにローマに来てこのお屋敷の使用人として働き始めた褐色の女性、シャンドライ。
初め、二人の間の恋の距離感は遥かに遠い。
シャンドライはお屋敷を掃除しながら聴く、キンスキーが奏でるクラシック音楽も、ひとつひとつ丁寧に磨くトラディショナルな趣の家具や調度品、絵画、そして引き籠りがちなこのピアニストのことが理解できない。
そんなシャンドライにキンスキーは不器用なほどストレートに愛を告白する。しかし、彼女には、夫がいること、キンスキーのことが理解できないことを訴え、拒絶した。恋の距離感は明らかに広がる。
だが、それからのキンスキーの行動の変化が恋の成せるワザだ。「アフリカについて何を知っているというの」というシャンドライの言葉によって彼自身の音楽が変わり、お屋敷のインテリアが変わり、その変化を感じるシャンドライの気持ちも変わっていく…。
そして二人の間の心の距離感が最高に狭まった時に、辛いエンディングが待っているという、大人の恋の物語である。
■「シャンドライの恋」(日本公開2000年)監督:ベルナルド・ベルトリッチ脚本:ベルナルド・ベルトリッチ クレア・ペプロー出演:タンディ・ニュートン デヴィッド・ショーリス製作国:イタリア、イギリス
(2002年4月住宅メーカーPR誌掲載)
※この文章は高山ビッキが2002年に企業のPR誌に執筆したものをほぼそのまま掲載しております。無断転載を固く禁じ致します。※本サイトへのお問い合わせはケーアンドケーまで03(3981)6985
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