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2012年7月12日 (木)

2000年 大いなる遺産(映画に住みたい)

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「大いなる遺産」

廃墟が語る家の物語

高山ビッキ・文

廃屋というのは、いわば個人住宅の遺跡である。

日本のように土地が狭く、スクラップ&ビルドを繰り返すところではあまりお目にかかれないが、たまに発見すると、人けのない家にも周囲と同じような季節がめぐってきていて、止まってしまった時間と移り変わる季節とのギャップに、いっそう家の物語へのイマジネーションがかき立てられる。

この映画にも、フロリダにあるほとんど廃墟と化した邸宅が象徴的に出てくる。魅力のある廃墟にはそこに住んでいた一族が絶頂期を境にある悲劇に見舞われるなどして姿を消した…、といった物語が見え隠れする。

そして建物自体に限りない魅力があり、往々にしてそこは子どもたちの想像力を刺激する場所となる。アルハンブラ宮殿を模したそのエントランスには噴水があり、テラスはそのまま海に面している。

廃屋ゆえに野趣に溢れているところがまた魅惑的だ。この家で、運命を翻弄し合う男女は幼い頃に出会った。19世紀を代表するディケンズの名作をアメリカを舞台に映画化した作品である。

■「大いなる遺産」(初公開1998年) 監督:アルフォンス・キュアロン 脚本:ミッチ・グレイザー 出演:イーサン・ホーク グウィネス・パルトロー 製作国:アメリカ

(20004月住宅メーカーPR誌掲載)

※この文章は2000年に高山ビッキが企業のPR誌に執筆したものをほぼそのまま掲載しております。無断転載を固く禁じいたします。 ※本サイトへのお問い合わせはケーアンドケーまで03(3981)6985

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