2001年 マグノリアの花たち(映画に住みたい)
「マグノリアの花たち」
人と人の絆に井戸端スペースは欠かせない
高山ビッキ・文
アメリカ南部には伝統的な建築様式の住宅が根づいている。ニューオリンズなどの南部の住宅街がどっしりと落ちついた印象を与えるのはそのためだろう。
この映画の冒頭では、まさにそうした南部の伝統スタイルの家の外観が何カットも映し出される。
そしてジュリア・ロバーツ演じる、ある一家の娘が嫁ぐ日から物語は始まるが、自宅の開放的な広い庭でウエディングパーティが開けてしまうのは、日本人には羨ましいかぎり。
この映画からはコミニュケーションの場としての空間のあり方を学ぶことができる。リビングはその広々とした庭と境界があいまいなほどオープンで、やんちゃなボーイズが駆け回っている。
里帰りした娘が母親に打ち明け話が出きるのはキッチンだ。明るい茶色の木と煉瓦でコーディネートされたアイランド式のキッチンで、母親は家事をしながらカウンター越しに話す娘の切ない決心を聞く。
演技派の女優たちに支えられてジュリア・ロバーツが大女優になるきっかけとなったこの作品は、人生の喜怒哀楽を超えて時が過ぎ行く摂理を淡々と温かく描く。この映画で、美容院が井戸端スペースとなっているように、ただ話を聞いてくれる人のいる“かけこめる場”が身近にあればそれだけで幸せなのかもしれない。
■「マグノリアの花たち」(日本公開1990年) 監督:ハーバード・ロス 脚本:ロバート・ハーリング 出演:サリー・フィールド ジュリア・ロバーツ シャーリー・マクレーン ダリル・ハンナ 製作国:アメリカ
(2001年10月住宅メーカーPR誌掲載)
※この文章は高山ビッキが2001年に企業のPR誌に執筆したものをほぼそのまま掲載しております。無断転載を固く禁じいたします。 ※本サイトへのお問い合わせはケーアンドケーまで03(3981)6985
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