2024年1月30日 (火)

カエルアートマンに変身することもある日本のカエルたち/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル85「ほっと・ねっと」2024年1月

かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル85

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<カエルアートマンに変身することもある日本のカエルたち>

100年カエル館

高山ビッキ

 

 カエルアートマンは4年前にデビューする予定でした。

100年カエル館が所蔵する故柴田まさる氏のスケッチ画を紹介する「カエルアートマン展」を東京・新宿の京王プラザホテルで開催する予定だったのですが、折しも発生した新型コロナウィルスの感染拡大で中止になりました。

 この4年間を振り返れば、世の中が停滞したように感じる時期もあり、一方でかつてないような現象も起こり、歴史の大きな転換期に遭遇した思いでした。

 昨年再開した本館は、今年、4月から11月までの月の前半の10日間ほどを開館いたします。そして、4月と5月には、4年前に中止となったその「カエルアートマン展」を同館内で開催します。

 本展の見どころは、私たちがアートマンと名付けた柴田さんのスケッチ画20点のカエルたちですが、キャラクター性を強調して描かれた1点1点に作者は何のカエルを基に描いたか、種名を手書きで付していました。

 トノサマガエル、ニホンアマガエル、アズマヒキガエルなど、一般によく知られていて福島県にも生息しているカエルもいますが、アイフィンガーガエルやハロウエルアマガエルといった、外国の研究者の名前などが付けられ日本のカエルとは思えない種名で、沖縄県や南西諸島に分布しているカエルもいます。

 身近な生きものとはいえ、名前と顔が合致しない可能性もあると思い、ここでもう一つの見どころとなりますが、カエルの写真家として広く知られ、日本のカエル全種を生息地に赴いて撮影されている前田憲男氏にご協力いただき、一体一体のカエルアートマンに同種のカエルの写真を併置させて展示いたします。

 自然の中で生活しているカエルをどんなふうに捉えてキャラクター化し、アート作品にしたのか、イメージを膨らませてご覧いただける展示になればと思っています。

 そして日本列島は、各地に時にカエルアートマンに変身するかもしれない(?!)、楽しいカエルたちが生息する生物多様性の土地であることをお伝えしたい。

 多くのカエルが繁殖シーズンを迎える頃。カエルの魅力を引き出す企画展を目指しています。

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2023年12月28日 (木)

「蛙化現象」と守護神のカエル/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル84「ほっと・ねっと」2023年12月

かえるモノ語り~自然と文化をつなぐカエル84

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<これからの季節、「蛙化現象」に気をつけて。>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

 12月のはじめに発表された2023年ユーキャン新語・流行語大賞のベストテンに選ばれた「蛙化現象」。数年前から言われ始めた言葉ですが、今年は女子高生の間で話題になったことで、「カエル関係者」としては一昨年の「かえる愛」に続く栄えある「カエル」のベストテン入りとなりました。

 男性にとっては微妙な言葉で、女子は振り向かせたいと思っていた相手が振り向いたとたんに嫌いになったり、つき合い始めた男性のちょっとした行動で急に冷めたりする現象と捉えられています。

 そうした女性の心の移ろいやすさや感情の振れ幅の大きさは古く「女心と秋の空」(元々は「男心と秋の空」とも)と言われ、今に始まった現象ではなく、英語圏では女性心理を表現する同様の言葉は「蛙化現象」とは無関係の「ICK(イック)」と呼ばれているそうです。

 それが今なぜ日本では女子高生など若い女性に「蛙化現象」と呼ばれているのでしょうか。

 思い至るのは「グリム童話」で知られる「カエルの王さま」です。この物語の中に登場するお姫様は、魔法でいわば「蛙化」した状態の王子様を嫌い冷たくしますが、嫌悪感が頂点に達してそのカエルを壁にたたきつけたところで魔法が解けてカエルは「王子化」、元の王子の姿に戻って物語は二人が結婚するハッピーエンドを迎えます。

 一方、日本には「うばっ皮」という民話があり、カエルが蛇から救ってくれた娘に恩返しするために、かぶるとカエルのようにしか見えないうばっ皮を贈り娘の旅の途中の安全を守ります。いわば「蛙化」していた娘が、最後はそのうばっ皮を脱いで美しい姿に。幸せな結婚をするシンデレラストーリーとして語られる場合もあります。

 洋の東西を問わず民話や童話には子どもに読み聞かせするお話の中に、少女が大人の女性へと成長する過程で起り得る心理的な変化や、遭遇するかもしれない危険なことが紛れ込んでいることがあります。

 それを「蛙化現象」と名付けたことで、現代の若い女性たちも自らの深層心理を知り、またはそれを乗り越えることで大人になるためのきっかけにしているのかもしれません。

カエルは巡り巡って女性たちの守護神の役割を担っていると言えそうです。

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2023年11月20日 (月)

冬眠に向かう蛙に時の流れの不思議を感じて。/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル83「ほっと・ねっと」2023年11月

かえるモノ語り~自然と文化をつなぐカエル83

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<冬眠に向かう蛙に時の流れの不思議を思って。>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

今年2023年は11月までの3ヶ月間、各月の前半の十日間ほどでしたがおかげさまで100年カエル館を開館することができました。

 連続猛暑日の記録を更新していた9月と紅葉シーズンの11月では、たった三月とは思えない時の流れの早さを気温や自然の変化の中に感じました。

 ご来館者のなかに、お父さんとの散策中にたまたま立ち寄ったという近所にお住まいの小学生のお嬢さんがいました。

 彼女が館内で目を止めしばらく見ていたのは、その時洋室展示室に設置していた、100年カエル館を創設する前の写真。「高山建設」の事務所だったこの部屋は蒐集したカエルグッズが分類されることなくあふれ返っていました。

 大きな展示ケースが今も昔も同じ場所にあるので察するに彼女は、同じ空間の「今」と「昔」の時の流れの不思議に興味をもったのではなかと思いました。

 近くに本館があることは知らなかった父娘(おやこ)さんでしたが、昨年アクアマリンいなわしろカワセミ水族館とコラボした「カエル展」はご覧になっていて、その時展示していた陶製のベルツノガエルの「ベルさん」との再会も喜んでくれました。

 100年カエル館は、来春3月まで冬季休館いたします。4月から始まる来年の開館では楽しい企画展も考えております。

 また、カエルが野外で静かに冬眠するこれからの季節、双葉郡富岡町にある「とみおかアーカイブ・ミュージアム」では、福島に生息しているカエルたちを数多く撮影して個展や出版などの活動を行っている矢内靖史さんの写真展「かえるあい」が開催されています(2024年2月12日まで)。

 広い会場に展示された大型パネルの約50点の写真の中で愛らしい姿を見せるカエルたち。小さな生きもの夢の中で、見られているのは私たちの方かもしれないと思える不思議な空間。

 12月9日(土)にはギャラリートークが行われますが、私もトークに参加させていただき、いま地球上で静かに育まれている「かえる愛」をテーマにお話させていただく予定です。写真を通して愛でるカエルと、グッズで楽しむカエル。二つの視点が交差するトークになればと思っています。

矢内靖史写真展「かえるあい」

会期:2023年10月21日(土)~2024年2月12日(月)9:00~17:00(最終入館16:30)

会場:とみおかアーカイブ・ミュージアム

〒979‐1192福島県双葉郡富岡町大字本岡字王塚760‐1 [休館日]月曜日(月曜祝日の場合、翌平日)

TEL.0240-25-8644

入館無料

<ギャラリートーク>

12月9日(土) 13:00~14:30

※詳細は https://www.manamori.jp/museum/030/20231012192728.html をご覧ください。

 

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2023年10月17日 (火)

朝ドラのモデルになった牧野富太郎博士のフローラとフロッグ/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル82「ほっと・ねっと」2023年10月

かえるモノ語り~自然と文化をつなぐカエル82

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<朝ドラのモデルになった牧野富太郎博士のフローラとフロッグ>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

 9月までの半年間放送されていたNHK朝の連続テレビ小説『らんまん』。「日本の植物学の父」と呼ばれた牧野富太郎博士をモデルにしたドラマでしたが、史実に縛られないのびやかなストーリー展開で、テレビ画面を通じても草花にふれられたせいかとても幸せな気持ちになりました。

 そして普段、植物ではなくカエルについて考えている筆者にとっても、懐かしくよみがえることの多いドラマでした。

 何と言っても妻となる寿恵子が、結婚する前、地べたを這いつくばって植物を観察する万太郎を「カエル先生」と呼んだこと。万太郎は土佐から東京に出て来て何度か引っ越しをしますが、石製の2匹のカエルがなぜかいつも一緒でした。植物画を描く机の上にはヒキガエルを模した文鎮を置いていることも。私にとっては祖父と父を思い出すのに充分でした。

 100年カエル館では、牧野博士とほぼ同時代を生きた、明治生まれのカエルのモノのコレクター、小澤一蛙氏が蒐集したカエルも展示しているのですが、ドラマに描かれた明治から昭和へと変わりゆく東京の様子は、どこかに小澤さんの姿を見かけそうで、画面の中に誘われました。

 また、若い頃同じ長屋の住人だった文学青年がドラマの最後の方で、実は明治の文豪坪内逍遥だったというサプライズもありました。私たちのミュージアム館内にやはり展示コーナーを設けている、演劇研究家にしてカエル好きの河竹登志夫氏。その父の繁俊氏が逍遙と深い係わりがあり、ドラマで「逍遙」が話題にしていた早稲田の演劇博物館の館長も務めました。生前登志夫氏は、幼い頃逍遙に頭をなでられたことを覚えているとエッセイに書き遺しています。

 ドラマ同様、牧野富太郎は東京大学に長く勤務しましたが理学博士の学位を受けたのは60代に入ってから。それまではひたすら日本のフローラ(植物相)を明らかにすべく植物の標本作製にエネルギーを注いだと言っていいのでしょう。

 日本の植物学も、カエルを含む両生類の研究も、近代に入って最初はドイツ人シーボルトら外国の研究者によって進められました。

 それを自らの手で採取し、描き、図鑑にし、日本人の手で未来に伝えようとした博士のロマンは、現代の私たちにも大きな夢と希望を与えてくれるものです。

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2023年9月18日 (月)

とんでもなく暑い8月、久しぶりにかえるくんに会いました。/かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル81「ほっと・ねっと」2023年9月

かえるモノ語り~自然と文化をつなぐカエル81

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<とんでもなく暑い8月、久しぶりにかえるくんに会いました。>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

 オランダのかえるくんにばったり、喜多方で出会ったような気持ちになりました。

 毎年夏に開催されている、「喜多方発21世紀シアター」。今年のプログラムの中にオランダ生まれの「かえるくん」がいたのでした。残念ながら観に行けなかったのですが、それはオランダの絵本作家、マックス・ベルジュイスの作品をもとにした人形劇でした。

 「かえるくん」といえば、アメリカの絵本作家、アーノルド・ローベルの『がまくんとかえるくん』のかえるくんの方が先に生まれ、日本でもよく知られているかもしれません。ローベルは1933年生まれで、その〝ふたり〟の仲良しのカエルたちの物語シリーズが出版されたのは70年代。 

 一方、ベルジュイスは1923年生まれですが、彼の「かえるくん」シリーズが始まったのは80年代の終わりでした。

 ベルジュイスの「かえるくん」は、運河でのウォータースポーツが盛んなオランダのカエルらしく、いつも赤いボーダー柄の水泳パンツを履いています。

 緑色と茶色の抑えた色調で描かれたローベルの絵本と違い、ベルジュイスの絵本は色彩豊か。「がまくんとかえるくん」でふたりの関係以外は外の世界の生きものとして描かれるのに対して、ベルジュイスの「かえるくん」の仲間たちは、あひるさん、こぶたさん、ねずみくん、のうさぎくんたちです。かえるくんは他の生きものたちと暮らす中で、なぜ自分はトリのように飛べないのかと考えたり、旅人のような存在のねずみくんに自分も旅に連れて行ってもらうがすぐに帰りたがったり……。かわいい姿形の動物たちでしか伝えられない方法で、私たち誰もが日頃漠然と抱いている「自由って何?」「自分って何?」といった疑問にさりげなく答えてくれます。

 2005年に他界したマックス・ベルジュイス。その2年前にオランダの評伝作家ヨーケ・リンデルスさんの執筆で彼の評伝『かえるでよかった』が出版されています。07年にその日本語訳が出版され講演のために来日されたヨーケさんに、100年カエル館は当時発行していた「カエルタイムズ」で取材させていただきました。

 写真の「かえるくん」人形はそのときヨーケさんからいただいたもので、本館「名作童話に登場するカエル」として展示しています。

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2023年8月21日 (月)

土と木のカエルと土木の世界に生きたアマガエル/かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル80「ほっと・ねっと」2023年8月

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<土と木のカエルと土木の世界に生きたアマガエル>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

 人の手から産まれた土物のカエルと水田や湿地に生息するツチガエルは、「土」という言葉でつながります。そして、天然木の素材感を活かして作られたカエルの置物は、英名をTree Frogと表記する樹上生活をするカエルにつながり、アマガエル(Japanese Tree Frog)やアオガエル(Forest Green Tree Frog)にとって森林の樹上は大切な生息環境であることを感じさせます。

 土と木。

 現在、100年カエル館を営む私たちの実家は土木業を営んでいました。

 同館はコロナ禍のあいだ休館していましたが、9月から月の前半の10日間ほどですが開館いたします。(詳しい日程は毎月の開館前にウエブサイトでお知らせいたしますのでご来館いただければうれしいです。)

 8月は16日から19日の4日間プレオープンとして開館いたしました。再開にあたっては、本館の和室の展示室を「日本文化の源流とカエル」と、いささか大層なテーマで展示構成し、中央の展示台に柏(かしわ)槐(えんじゅ)欅(けやき)一位(いちい)など、北海道から九州までの天然木で作られた、比較的大振りのカエルをご覧いただきました。

 その多くが、両親が各地にドライブに出かけ購入してきたカエルです。写真は栃木県日光産のカエルです。

 同展示室では、両親が集めた焼物のカエルも展示していて、土と木のカエルは私たちにとって、土木の世界に生きた父を今も身近に感じさせてくれます。

 父は「土木」の仕事の世界が自然環境への理解なしには成り立たないことを、誰に言うこともなくつぶやくことがありました。天候の変化に人一倍神経を使い、大雨になれば現場に向かいました。

 二ホンアマガエルは気圧の変化に敏感で雨が降りそうな空模様の時に鳴くことが多いことから、「雨蛙」と呼ばれています。

 父の名前は連天(れんてん)といいます。生まれた時から天に連なっていた父は、土木の仕事のために気象の変化を常日頃から神妙に受け止めた、まさに「天蛙(あまがえる)」だったのかもしれません。お盆の季節にツリー・フロッグ、父が一生懸命集めた木のカエルを見てそんな思いに駆られました。

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2023年8月16日 (水)

カエルカードで「かわいい!」の多様性を伝えたい。/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル79「ほっと・ねっと」2023年7月

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<カエルカードで「かわいい!」の多様性を伝えたい。>

高山ビッキ(100年カエル館)

 

 春夏秋冬、四季の移り変わりを楽しめるのが日本の魅力のひとつ。でも最近は春と秋があまりに短く、二季になってしまったかのようです。

 本来なら夏日には間のあるはずの6月25日も、すっかり夏の暑さとなった信州、長野県松本市。ここでは毎年この時期にカエルをテーマにした日本で最大規模のお祭り「松本かえるまつり」が開催されます。今年100年カエル館は4年ぶりに出店参加してきました。

 4年前はこのお祭りで「カエ~ル大学講座」を行って、「ガマ仙人」をテーマにお話させていただきました。今回は100年カエル館オリジナルのミュージアムグッズとして制作した「カエルカード」を販売しながら、間もなく同館を再開するお知らせをして参りました。

 ポストカードサイズのこのカエルカードは、アートとして描かれたカエルをコレクションしたり、フレームに入れてお部屋に飾ったりなど、生活の中で「カエル」の楽しさを取り入れていただきたいと制作したものです。自然に棲息するどのカエルがどんな「カエル」としてアート表現されているか、カードに種名を表記し、種ごとの分布や生態などの説明も付けています。

 ここに紹介した絵は、私たちが「カエルアートマン」としてシリーズ化しているカードで、キャラクター的に表現されていますが、作者である柴田まさる氏はトウキョウダルマガエルから発想して描いています。

 カエルアートマンのカードを今回は20号中13号までを販売しましたが、特にウシガエルとニホンアマガエルに人気がありました。カエルアートマン以外でも、何という種名かがわかるカエルのフロント(前から見た姿)やバック(後ろ姿)を写実的に描いた作品などを販売しました。

 「カワイイ!」とか「オシャレ!」と言って手に取ってくださる方、また無言でそれぞれの「カエル」と向き合い「コレ!」と思った一枚を選んでくださる方、「みんなかわいくて選べない」と迷っている方もいらっしゃいました。

 人によって好き嫌いが分かれるとも言われるカエルですが、生きもののカエルがアートとして表現されたカードから自分のお気に入りを発見する瞬間に、そのカエルを愛でる気持ち「かわいい!」の多様性が現れているようでした。

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2023年6月23日 (金)

マジョルカ島に棲む子育てするカエルとマジョリカ焼のカエル/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル78「ほっと・ねっと」2023年6月

<マジョルカ島に棲む子育てするカエルとマジョリカ焼のカエル>

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高山ッビッキ(100年カエル館)

 

 スペインの東に位置するマジョルカ(マヨルカとも)島。訪ねたことはないのですが、100年カエル館の収集品に「マジョリカ焼のカエル」があります。

 陶器の底に「R.Tallin〝Majorica(マジョリカ)〟と印字された睡蓮モチーフのティーポット(写真)。取っ手のデザインが大航海時代のコロンブスをイメージさせるような帽子や装いのカエルになっています。このコロンブス風のカエルと当時の女性の装いをしたカエルが「コロニアルスタイルのミスターとミセスのカエル」というテーマで、マグカップや小物入れなどシリーズ化してつくられた時期があり、今はヴィンテージ品になっています。

 昭和の子ども番組「ひょっこりひょうたん島」には「魔女リカ」が登場しますが、ちょっと不思議なマジョリカのカエルに導かれるようにヨーロッパの焼き物について調べてみました。その伝統はイスラム文化に起源があり、1516世紀大航海時代には同様の技法をもとに、オランダのデルフト焼などヨーロッパ各国でさまざまな焼き物が生まれるなか、イタリアでつくられるようになったのがマジョリカ焼とされています。

 マジョリカ焼の名前はマジョルカ島に由来していますが、この島はスペインからイタリアへの錫釉陶器輸出の中継地だったようです。

 さて、そのマジョルカ島には、マジョルカサンバガエルという、子育てをするカエルが棲息しています。「サンバ」はお産婆さん(英語でmidwife=助産婦)を意味しますが、水辺で繁殖活動する種が多いカエルは、産卵後は基本的に子育てをすることはありません。ただ棲息環境によっては、雌雄のどちらかが産卵後子どもが幼体になるまで面倒をみるカエルもいます。

主にヨーロッパに分布するサンバガエルは、雌のカエルが陸上に産んだ卵を雄のカエルがそのひも状の卵をうしろ肢に巻き付けて、卵が乾かないように湿った場所まで運び、子ガエルになるまで付き添います。

 マジョリカサンバガエルもそんな珍しい繁殖形態をもつカエルの一種。

最近、静岡県河津町の体感型カエル館「カワズー」がその産卵に日本で初めて成功したことが報道されました。マジョリカ焼のミスター&ミセスもサンバガエルなのかもしれませんね。

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2023年5月26日 (金)

カエルも思っているだろうか、いつも五月だったらいいのに。/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル77「ほっと・ねっと」2023年5月

<カエルも思っているだろうか、いつも5月だったらいいのに。>

高山ビッキ(100年カエル館)

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 「いつも5月だったらいいのに」。100年カエル館に、そう訳せるタイトルの付いたアメリカ人画家の絵があります。

 春夏秋冬の気候変化の激しい土地では、国が異なっても新緑の季節の5月は、格別な喜びに満ちているのでしょう。

 会津のこの時期の美しさも比類ないものがあります。この原稿を書いている5月5日は子どもの日。子どもの頃もこの季節の光を見て、この光の中で遊んでいたことを思うと、心の遠くの方でも煌めくものがありました。

 庭のアマガエルの初鳴きも聴こえ、水辺では産卵も見られるでしょう。私自身は、子どもの頃、野外でカエルと戯れることはなく、祖父が蒐集している木や石などのカエルを見て育ち、やがて自分でもカエルグッズを集めるようになり、人と蛙の関係から生まれる文化に興味をもつようになりました。

 そして、100年カエル館創設以来、カエルについて執筆することも増え、山と溪谷社から2012年に“カエル文化”について111本のコラムを書いた本『かえるる』を出版。その翌年には、キュートなカエルの撮影で知られる写真家、松橋利光さんによる、世界のカエルと日本のカエルの写真、そして私が文章を担当した図鑑『ときめくカエル図鑑』を上梓しました。

 生物学の研究者ではないので勇気のいる仕事だったのですが、地球上に生息するカエルたちが私たちに伝えたいことがあるとしたらそれは何なのか、生物学的なファクトを踏まえた上で表現しました。カエルはちょっと苦手という方にも楽しく読んでもらえるよう、カエルの生き方や魅力を可能な限りアピールしました。

 この図鑑は一昨年に文庫化されたのですが、このたび重版が決まり、間もなく新版が発売されます。喜多方では宮脇書店さんがコーナーを設置して販売して下さっています。

 文庫初版1刷と基本的に内容は変わらないのですが、昨年、今まで東日本集団のツチガエル(三浦郁夫氏調査)とされていた種が、ムカシツチガエルとして新種記載されたことなど更新しています。カエルの研究の世界も日進月歩の進化が見られます。

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2023年3月30日 (木)

地を這うヒキガエルが海に向かう理由/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル75「ほっと・ねっと」2023年3月

<地を這(は)うヒキガエルが海に向かう理由>

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高山ビッキ(100年カエル館)

 

 最近、海とカエルについて考える機会がありました。

  カエルグッズを集めていると、貝細工のカエルと出合うことがあります。貝は川にも棲息していますが、カエルの貝細工の多くはハマグリやアサリなど海の貝を使ったものが多く、観光地の土産物になっています。海辺で採集した貝を素材に何か作ろうと思ったときに、擬人化しやすいカエルが適していたのかもしれません。

 生物学的には、塩水が苦手で、海岸域には不向きとされているカエル。ところが最近、そんなカエルを含む両生類が、沿岸域や汽水域(海水と淡水の中間にあたる水域)で観察される報告が増えています。

 この現象に関しては2018年に喜多方で開催した日本両生類研究会の自然史フォーラムでも、秋田両棲類研究会の木村青史氏が報告しましたが、木村氏はその後も調査を続け、今年1月に発行された『両生類誌No.35』でも、詳しい調査結果を報告しています。

 その報告の中で特に興味深かったのは、「海岸や汽水域で確認された両生類の確認地点数」で最も多いのがニホンアマガエルで、次が外来種のウシガエル、そしてその次はアズマヒキガエルだったことです。

 20世紀に日本にやってきたウシガエルは別にして、ニホンアマガエルもアズマヒキガエルもアマガエルやヒキガエルとして日本で馴染み深いカエルですが、日本列島が大陸と切り離されて成り立った頃までさかのぼれば、時に海水を泳いで大陸から移動してきた可能性(それを記憶した遺伝子)もないのではないかと思ったからです。

 アズマヒキガエルに至っては、両生類研究会の野村卓之氏によると、2000年に、新潟市の四ツ郷屋海岸の砂浜を移動して海に入っていく成体が確認され、何度か陸に戻しても再び海に入っていったことが観察されています。

 万葉集ではタニグクという言葉で、その「さ渡る極み」(=地の果て)まで知り尽くしている知恵者とも考えられたヒキガエル。そのヒキガエルがここへ来て、何ゆえ海をめざしているのかと思うと、その理由をあれこれ想像せずにはいられません。

 最近、海から川に紛れ込んだクジラも話題になりました。人よりも先に地球の変化を感知する生きものたち。海とカエルの関係は、地球全体にかかわる大きなテーマにつながっているのかもしれません。

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