2022年11月26日 (土)

「カエル」展の最終日は、ワールドカップサッカー、コスタリカとカエル合戦⁈/かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル71「ほっと・ねっと」2022年11月

<「カエル」展の最終日は、ワールドカップサッカー、コスタリカとカエル合戦⁈>

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高山ビッキ(100年カエル館)

 アクアマリンいなわしろカワセミ水族館と100年カエル館によるコラボ企画展「カエル」は、今月27日をもちまして終了いたします。たくさんの方々にご来場いただき、ありがとうございました。

 今月から「ワールドカップカタール2022」が始まり、「カエル」展の最終日には日本対コスタリカ戦があります。

 サッカーのワールドカップがあると、「ケロ~、ケロ~」とカエルの声が聞こえるのか、日本の対戦相手国のカエル事情が知りたくなります。

 サッカーの強豪国であるコスタリカは、カエルと関わりの深い国でもあります。

 カリブ海に臨み、北米と南米をつなぐように位置する中米のコスタリカ共和国は、熱帯雨林の地域が広がる生物多様性の国で、カエルの種類も140種以上確認されています。

 その中で特に注目度の高いカエルといえば、自然界の色とは思えないほど鮮やかな体色をもつヤドクガエルやアカメアマガエル。今回の企画展「カエル」にも生態展示されていたので、ご覧いただけたのではないでしょうか。

 コスタリカでは、そんな地球の宝物のようなカエルたちのグッズもバリエーション豊富に作られています。写真は2011年に会津若松市にある福島県立博物館で開催した100年カエル館のコレクション展で展示したコスタリカのカエルグッズの数々です。

 この収集は現在もコスタリカの首都サンホセにお住まいの写真家石井信也さんのご協力で現地から送っていただいたカエルたちです。

 やはりヤドクガエルやアカメアマガエルを表現したフィギュアや文具などが多いのですが、異彩を放っているのがオレンジ色のカエルです。

 実際、20世紀末頃までオレンジヒキガエルともゴールデンヒキガエルとも呼ばれたヒキガエルがコスタリカの雲霧林に生息していたのですが、絶滅したと見られています。

 また、現地では国立博物館に展示されているような金細工や土器のカエルを思わせるカエルグッズもあります。大航海時代以前にここで暮らしていた先住民がアニミズム信仰からカエルを多産のシンボルとしていたことが伝わります。

 日本対コスタリカ戦。どちらの国にもカエルと共に育んだ文化があることにカエール、いえ、エールを送ります。

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2022年10月23日 (日)

木の文化と土の文化を知る日本のカエルたち。/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル70「ほっと・ねっと」2022年10月

<木の文化と土の文化を知る日本のカエルたち。>

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高山ビッキ(100年カエル館)

 夏に始まった企画展「カエル」(アクアマリンいなわしろカワセミ水族館にて)は、紅葉も見頃のこの季節、後期展示を開催中です。

 後期のカエルグッズの展示は、「カエルグッズを楽しむ生活とカエル文化」をテーマに5つのカテゴリーで展開しています。フライヤーではそのうちの一つを「おもしろポーズ」と告知いたしましたが、内容を変更しましてカエルグッズの「日本の産地」を切り口にご覧いただいています。

 1台の展示ケースの中に、日本各地の工芸品や郷土玩具、土産物のカエルグッズを紹介しています(写真)。

 同企画展全体の後期のテーマは「旅するかはずとカエルの未来」ですが、この1台では北は北海道から南は沖縄県まで、カエルグッズを見て日本列島縦断の旅の気分を楽しんでいただければと思っています。素材は木彫り(木製)、土物(土製)、張子(紙製)、石製、貝細工などのカエルグッズが全国的に見られます。

 日本のものづくり産地は今回紹介しているカエルグッズを通して見る限り、木の文化を感じさせるカエルグッズは北海道・東北に比較的多く、土物のカエルグッズの産地はどちらかといえば西日本に多い印象を受けました。そのほか、張子のカエルは東北で出合う機会が多く、貝殻の組み合わせでカエルをつくる貝細工は、全国の海辺の地域の土産物になっています。

 日本ならではの木の文化と土の文化の対比を考えると、飛騨のいちい彫りのカエル(岐阜県)や信楽焼のカエル(滋賀県)の辺りを境に、東西のカエルグッズの文化圏に明らかな違いが生じている気がしました。

 日本の山や川、田圃など自然の中に生息しているカエルも、身近にいるアマガエルは英名がTree frogで木とかかわって進化してきたことがわかり、名前からも土との関係の深さを感じさせるのはツチガエルです。どちらも最近では同じ種でもDNA解析の結果地域によって違いがあることも報告されています。

 カエルもカエルグッズも日本の成り立ちと深くかかわった歴史をもっているかもしれないと考えると、文理が融合する研究からさまざまな発見が期待できそうでワクワクします。

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2022年9月24日 (土)

ガーデニンググッズのカエルたちが誘うファンタジックな世界。/かえるモノ語り―自然と文化をつなぐカエル69「ほっと・ねっと」2022年9月

<ガーデニンググッズのカエルたちが誘うファンタジックな世界。> 

高山ビッキ(100年カエル館)

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タイ製(左)とメキシコ製(右)のプランター

 ある時、カエルグッズとガーデニングはとても相性がいいのだと気づきました。

 カエルグッズを集めていると、まさに自然に集まってくるとも言えるガーデニンググッズ。海外のものも多く、土物の大きめのプランターは、タイ製、メキシコ製、イタリア製などがあり、その他、ドイツ製の王冠をかぶったカエルの形のジョーロ、アメリカ製の庭用キャンドルホルダー、イギリス製のガーデンストーンのヒキガエルなどいろいろあり、ガーデニングの世界的な高まりも感じられます。

 ただ、100年カエル館の場合、カエルをモチーフにしたガーデニンググッズはすべてカエルグッズとして館内に展示・保管しています。

 そこで改めて想像の中でそれらガーデニング用品のカエルグッズを庭に解放してみると、いつもの庭が朝昼晩、春夏秋冬、時の移ろいとともに、いきいきとした表情を見せてくれるようでした。

 そしてもうひとつ気づいたことがありました。

ガーデニングへの関心の広がりは、野外に生息しているカエルたちも歓迎しているのではないかということ。

 自然破壊によって生息地が奪われ、世界的に数が減っていると言われるカエルにとって、ガーデニングはカエルたちに快適な環境を提供していると思えるからです。

 100年カエル館の庭にも二ホンアマガエルが何匹か生息しています。

 そこで今度はカエルのガーデニンググッズを置いた庭を、小さなカエルたちの目で見る想像をしてみました。

 ホースをつないだカエルの噴水口から勢いよく出た水をカエルは恵みの雨と思うかもしれず、夜になりキャンドルホルダーに火を灯せば、火を恐れるかもしれないけれど、その灯りのまわりに集まる虫たちはカエルのごちそうになるかもしれません。

 大きな開口部のある陶器のカエルのプランターは、「蛙の王宮」のように見え、近くに王冠をかぶったブリキのカエルがあれば、それは「イソップ童話」でカエルが待ち望んだ王様に思えるかもしれません。

 カエルのガーデニンググッズは、庭を見る私たちを人間にしたり、カエルにしたりして、伸び縮みする不思議な時空、ファンタジーの世界へと誘ってくれます。

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館で開催中の企画展「カエル」は10月5日から後期展示が始まります。写真のカエルのガーデニンググッズも展示の予定です。

http://kaeru-kan.cocolog-nifty.com/froggy_museum/

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2022年8月28日 (日)

昨今注目される昆虫食とカエルの食生活。/かえるモノ語りー自然と文化をつなぐカエル68「ほっと・ねっと」2022年8月

<昨今注目される昆虫食とカエルの食生活。>

 高山ビッキ(100年カエル館)

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The Icky Sticky Frog Dawn Bentley/Salima Yoon

 今世紀に入り、環境問題解決のひとつの手段として注目されるようになった昆虫食。人類の食糧問題もそこまで来ているのかと驚き、でも、実際、食べられるかな、などと思ったけれど、コオロギラーメンもコオロギせんべいもその粉末を使うそうですが、まだ食べる機会がありません。

 また、昆虫食の話題になると、日本でも昔からイナゴを食べる地域があると言われ、100年カエル館のある会津もそのひとつに挙げられます。私も子どもの頃、食べたことがありました。

 そして、昆虫食と言えばカエルです。アマガエルやアオガエルなどは緑色の体色のせいか、草食と思われることもあるのですが、自分の口に入る大きさの昆虫などを食べる肉食動物です。しかも、目の前で動く生きものなら何にでも跳びついたり、粘着性のある舌を伸ばしたりして捕食します。

 そんなカエルの食いしん坊ぶりは、カエルグッズのデザインに活かされることがあり、実用品や置物のカエルに、意味ありげにハチやテントウムシやトンボなどの虫の絵柄や造形があしらわれていることがあります。不二家の「ペコちゃん」のように舌を出しているものもあり、カエルにとってそれらはおいしいものに違いありません。

 現在、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館で開催中のカエル展でも、カエルが食べるときのからだの動きから発想したようなカエルグッズをいくつか紹介しています。

 この絵本(写真)も展示中ですが、目はプラスチック製で黒目の部分が動き、口から伸びている赤いゴム状の舌の先には「ハエ」がくっついています。「ネバネバガエル」とでも訳せそうなこの絵本のカエルは、ハエやカブトムシやバッタをそのネバッとした舌で次々と食べていきます。そして次にチョウチョウを狙ったところで、最後のページで「ガブリ」、大きな魚にひと飲みされたのはカエル自身でした。

 カエルは食物連鎖を示す生態系ピラミッドの中間に位置している生きもので、その大きな口に入るサイズの昆虫などはエサになり、自分より大きな生きものからは食べられる危険性があるのです。そんな自然界に見られる生きものの生存のしくみをイギリスの絵本らしくブラックユーモアを効かせて表現しています。

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2022年8月 5日 (金)

アジサイの季節に"伊豆のカエル旅"に行ってきました。/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル67「ほっと・ねっと」2022年7月

<“伊豆のカエル旅”に行ってきました。>

高山ビッキ(100年カエル館)

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静岡県の河津(かわづ)町は、早咲きの桜「河津桜」で知られ、春には毎年各地から観光客が集まります。

そこに4年ほど前、日本最大の体感型カエル館、その名もKawaZoo(カワズ―)ができてからは、カエル好きの間では「カワズ―行った?」が挨拶代わりになりました。

にもかかわらず、なかなか足を運べないでいたのですが、この6月、ついに行って参りました。

沼津市に仕事で30年以上もお世話になったMさんご夫妻がお住まいで、今回、「カワズ―」と、沼津にある「あわしまマリンパーク」のカエル館めぐりをメインにした、伊豆のカエル旅へとご案内いただいたのでした。

三島駅で出迎えてくださったMさんのクルマで、伊豆といえば現在大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で注目の北条一族ゆかりの地を通り、一路カワズ―へ。

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ここカワズ―では常時120種の国内外のカエルを展示しています。昨年文庫になった拙著『ときめくカエル図鑑』に紹介したカエルたちと同種のカエルも多くいて、久しぶりに対面できました。

美しくもはかなげにカサッコソッと動くヤドクガエルたち。

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カエルは水槽の生態の中でも、葉っぱや枯れ枝、土の中に隠れたり、潜ったりしている場合があり、木の葉に間違えそうなコノハガエルとは目が合ったのですが、コケに似た姿のコケガエルにはこの日はお目にかかれませんでした。

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無人島にある水族館あわしまマリンパークには、対岸から約3分、船に乗って向かいます。

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大きな水槽の水の中にプカリプカリとビニールの玩具のように浮いているアフリカツメガエルは、生きているように見えず大丈夫かなと思うと、意表を突いたように動き出します。

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 人見知り(?)とも思えるカエルも多いなかで、つぶらな瞳でアイコンタクトをとってくれたのは宮古島などに棲むミヤコヒキガエル。

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こうして半日カエルたちとの時間を楽しんで、三島駅に戻る途中、Mさんに「こんなところもあるよ」と言われて立ち寄ったのが、三嶋大社の摂社、楊原神社(やなぎはらじんじゃ)。

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ここに「三島の七石」の一つとされる蛙石がありました(写真)。

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 まだ6月だというのに猛暑日だったこの日。雨乞いの祈りも込められていたかもしれないこの蛙石に、ハッピーフロッグ、今日はなんてラッキーなのだろうと思えた1日でした。

◎体感型カエル館KawaZoo 静岡県賀茂郡河津町梨本377-1 TEL.0558-36-3990

◎あわしまマリンパーク「カエル館」 静岡県沼津市内浦重寺186 TEL.055-941-3126

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2022年6月28日 (火)

日本の湖水地方、猪苗代にすむというファンタジーのカエル。/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル66 「ほっと・ねっと」2022年6月号

<日本の湖水地方、猪苗代にすむというファンタジーのカエル。>

高山ビッキ(100年カエル館)

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 前回、本連載では『ピーターラビット』シリーズの絵本の一冊に登場する、カエルのジェレミー・フィッシャーを紹介しましたが、その舞台はイギリス北部の湖水地方でした。

 イギリスには“もう一人”ミスター・トード(ヒキガエル氏)というカエルが、ジェレミー・フィッシャーとだいたい同じ時代に描かれた、ケネス・グレアムの童話『たのしい川べ』の中で冒険を繰り広げます。こちらはイギリスのテムズ川付近の川べにすんでいます。

 ジェレミー・フィッシャーもヒキガエル氏も湖や川などの淡水にすんでいます。

 そして、猪苗代町にあるアクアマリンいなわしろカワセミ水族館は、福島県に棲息する淡水生物を展示紹介しています。ここでは水槽の生態展示で福島県の在来種のカエルを見ることができます。

 カエルは身近にいる生きものとは言え、日頃民家の庭などで出合うのは二ホンアマガエルぐらいだと思うのですが、同じ在来種でも、田んぼ、山中、渓流、樹上と、生息地の異なるカエルたちが、一堂に会したように集まる様子は壮観でさえあります。

 先日、同館を訪れたとき、居並ぶ在来種の中で特にその“キャラ”に惹かれたのはアズマヒキガエルで、ヨコを向いたまま、どうも隣のカエルの水槽のエサを狙っているようでした。

 その貪欲な食いしん坊ぶりは、『たのしい川べ』のヒキガエル氏に通じるものを感じました。

 また、カワセミ水族館の水槽をひとつひとつ見ていくと、絵本の中で釣りをするジェレミー・フィッシャーのゴムぐつを引っぱったゲンゴロウや、植物のアシの中にひそんでいる川ネズミがいて、まさにビアトリクス・ポターが観察して描いた、湖水地方の自然がそこに出現したようでした。

 やはりここは日本の湖水地方なのだ、と確信できた気がしました。

100年カエル館は、今年はこのカワセミ水族館で、コラボ企画の「カエル展」を716日から1127まで開催することになりました。

 ところで、日本では童話作家の石井桃子の翻訳で親しんだ人も多い『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』ですが、一緒にイベントの準備を進めているカワセミ水族館のスタッフのお一人が、同姓同名の石井桃子さんだったことに、偶然とは思えないファンタジーを感じました。

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その姿にはちょっと哀愁もある、カエル好きのヒーロー。/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル65 「ほっと・ねっと」2022年5月号

<その姿にはちょっと哀愁もある、カエル好きのヒーロー。>

高山ビッキ(100年カエル館)

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 イギリスの絵本作家、ビアトリクス・ポター(1866_1943)。彼女の「ピーターラビット」シリーズは日本でもとても親しまれています。特に今年はその出版から120周年ということで、新訳の出版も始まりました。

 同じシリーズには、「ミスター・ジェレミー・フィッシャーのお話」もあります。もしかするとよほどカエルに興味がある人でなければご存じないかもしれません。

 ジェレミー・フィッシャーはカエルです。

 モデルは、その姿形からすると、ヨーロッパに比較的多く棲息しているアカガエル系のカエルでしょう。

 ずいぶん前のことになりますが、私はこのジェレミー・フィッシャーに会いたくて、ひとりイギリス北部の湖水地方にある、作者が後半生を過ごしたヒルトップ農場を訪ねたことがあります。

 まだインターネットのない時代。そこで「ピーターラビット」に会えるのは確かでも、そこにジェレミーに関する資料展示やミュージアムグッズがあるかどうか、事前情報なしに向かったのですが……、会えました。

 ジェレミーのグッズだけでも、オルゴール、陶磁器の置物、石けん、パズルなどいろいろあり、特に英国のフィギュアブランド「ボーダーファインアーツ」のジェレミー(写真)には、その精巧さに魅了され、今も100年カエル館のジェレミー・フィッシャーのコーナーで“センター”を取っています。

 1906年に出版されたジェレミーの「お話」の中で、彼は夕食にカメやイモリの両生爬虫類界の名士を招待すべく、小魚を釣りに行きます。でも全然釣れず、大きなマスに飲まれそうになるなど散々な目に遭って、最後は友人たちにテントウムシ・ソースをかけたバッタのローストをごちそうします。

 ジェレミーという名前には「悲嘆」という意味も込められていて、このお話を書いたときの彼女は私生活上とても辛いときにあったようです。

 また、当時の欧米で、カエルの絵本が好意的に受け入れられるかどうかわからない状況を押し切っての出版でした。

 結果は他の作品に負けない人気を博しました。

 21世紀の現在も、世界のカエル好きにとって間違いなくヒーローです。

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2022年4月29日 (金)

100年カエル館に新しい?!ガマ仙人が現れた。/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル64 「ほっと・ねっと」2022年4月号

<100年カエル館に新しい⁈ガマ仙人が現れた。>

高山ビッキ(100年カエル館)

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来訪神のように現れたガマ仙人。

その正体は、人形作家、林垣内瑞枝(はやしがいとみずえ)さんからの寄贈作品の「GAMA仙人」。2匹の「ガマ」それぞれが子育てをしているのか、「それはそれはしい幼子」を連れていました

 そのキュートな二人が、作家が生み出したガマ仙人というからびっくり。

 そういえば、仏教では紀元前にインドのルンビニで生まれたお釈迦様、ゴータマ・シッダールタの誕生日4月8日は、今でも花祭りとして祝われ、キリスト教では、その誕生が西暦紀元とされるイエス・キリストは、今では日本でもその降誕祭のクリスマスが年末に欠かせない行事になっています。

 そして我らがガマ仙人(蝦蟇仙人)は、お釈迦様やイエス様のように歴史に記録された人物ではないのですが、中国の道教にかかわる仙人とも伝えられ、そのルーツは5世紀頃に遡ることができます。

 日本でも特に江戸期に美術や工芸品のモチーフになり、今も寺社建築、祭りの山車、絵画、根付などに見ることができます。「カエル文化」的にとても重要な存在なのです。

 林垣内さんは、100年カエル館に展示されている骨董などの蝦蟇仙人を見て、「ガマ仙人はなぜガマ仙人になったんだろう」と考えたそうです。その結果生まれたのが、ガマに育てられた、この高貴な自然児とも言える、ガマ少年たち(写真)。

 その、アーティストならではの、まっすぐに真実を貫くような発想と表現に目が覚めるような思いがしました。二人のガマ少年を、その昔、ガマ仙人と呼ばれた人の一人、劉海蟾(りゅうかいせん)に因んで名づければ、リュウとカイでしょうか。

 初めて動物の人形を制作したという林垣内さんは、二人を育てたガマの造形を、ひとつは野外に生息するヒキガエルのように、もうひとつは、江戸の絵師が描いた「蝦蟇図」のように表現しています。

 100年カエル館は、現在、この「GAMA仙人」たちとコロナ収束後の再開の準備を進めています。

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2022年4月10日 (日)

土製の鉢の中に見つけた春と縄文のカエルの物語。/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル63 「ほっと・ねっと」2022年3月号

<土製の鉢の中に見つけた春と縄文のカエルの物語。>

 高山ビッキ(100年カエル館)

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 今年の冬は全国的に例年以上に寒い日が多かったせいか、3月になり啓蟄からお彼岸に向かって少しずつ温かくなっていくことがひときわうれしく感じられました。今頃近くの田んぼや池では、この土製の鉢の中(写真)のように、卵から孵った(かえった)オタマジャクシたちが泳いでいるかもしれません。

 そんな冬から春への季節の巡りは、縄文時代の人々も繰り返し感じていたことでしょう。近年、縄文文化に関する発掘調査やその研究報告、出版、博物館のイベントが増えています。新聞等メディアの報道でもさまざまな見解を読むことがありますが、文字で書き記されたもののない時代だけに、想像がかき立てられます。

 縄文時代に対するこれまでの一般的なイメージとして、稲作が始まる弥生時代の前の、狩猟採集を中心とした時代。文化度が低く原始的な暮らしをしていたという認識があったとしたら、再考すべきことが多いのではないかという見解が主流にあるようです。

 また、縄文文化といえば、日本の国土内だけで培われたイメージも少なからずあると思いますが、土器や石製の装飾品などの遺物の解釈などにより、大陸の諸文化との交流がまったくないとは考えにくいとも言われています。

 たとえばこの、カエルの造形とオタマジャクシの絵の装飾が内側に施された土製の鉢は、私の父が中国で購入してきたもので特に古いものではありません。でも、中国で日本の縄文時代のはじまりと同じ頃に起こった仰韶(ぎょうしょう)文化には、やはり、器の内側に蛙が描かれた彩陶(さいとう)器があると知って、この鉢に古くから伝えられた文化の一端を感じました。

 そして、以前、この連載でもカエルが描出された縄文土器、長野県曽利遺跡出土の通称「曽利の蛙」(蛙文・みづち文大深鉢)について書いたことがあります。まるでその装飾として浮彫されたカエルは現代のマグカップのカエルのデザインにも通じるキャラクター性がありました。

 文字のない時代、土器に施された装飾は物語の表現である可能性もあると言われます。今後の縄文文化の研究の進展によって、大陸の文化と共通性があったかもしれない縄文土器、そこに記された「カエルの物語」が読み解かれる日を楽しみにしています。

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2022年3月 6日 (日)

今も昔も空を見上げればカエルが降ってくる!?/かえるモノ語り-自然と文化をつなぐカエル62 「ほっと・ねっと」2022年2月号

<今も昔も空を見上げればカエルが降ってくる⁈>

高山ビッキ(100年カエル館)

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 冬に空から降ってくるものといえば、雪。しんしんと降る様子は神秘的で美しくもありますが、降り積れば雪かきが大変です。

 友人の真理さんから「でも最近の会津の雪は吹雪くように降るよね」と言われ、一月に喜多方に雪かきに戻ると、確かに子どもの頃の降り方とは大分ちがっているような気がしました。

 ただ世界各地で異常気象の報告があるなか、雪に混じってカエルが降ってくるわけではなく……?

 私は目撃したことはないのですが、2009年前後に日本国内数か所でカエルが空から降って来る事例が報告されました。

 実際に降っている状態を見たという報告よりは、水辺が近くにあるわけでもないのに、家の前にまだ生きている魚やオタマジャクシ、カエルを何匹も発見したというケースが多く、悪戯の可能性は充分考えられました。

 ただ、そうした現象は、自然科学の研究者の間では、飛んでいる鳥が捕食して呑み込んだオタマジャクシやカエルを何かの拍子に吐き出した可能性、そして、竜巻が起こったときに巻き上げられたオタマジャクシやカエルが降って来る可能性も否定できないようでした。

 その竜巻説。文献等によるとヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなど世界各地、古くは2世紀頃から20世紀までの記録がありました。

 そして21世紀の日本でも話題になったわけですが、いまだに決定的な科学的根拠が示されず、不思議な現象と受け止められるのは、旧約聖書の「出エジプト記」でナイル川にカエルが溢れた現象が記載されているように、「カエルが天から降って来る」現象は、竜巻が理由かどうかは別にして、創世記神話につながりやすいからかもしれません。

 写真はバリのウッドカービングのカエル。本当はありえない翼の生えたカエルの姿は、バリのシンボルである霊鳥ガルーダと、農耕の神ヴィシヌ神の使いのようなカエルが合体したイメージでしょうか。

 それは旧約聖書以来伝えられた大天使、その名も「ミカエル」の姿も思い起こさせ、カエルが空から落ちて来る現象に、つい超自然的なものを感じたくなります。

 

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